吉永小百合、石巻で主演映画上映会 自費で700人招待

[ 2012年12月3日 06:00 ]

ガレキの中から見つかった写真集を持つ吉永小百合と、新たにサインした写真集を持つ菅原聖社長

「北のカナリアたち」特別上映イベント

 映画「北のカナリアたち」(監督阪本順治)の特別上映イベントが2日、宮城県石巻市のワーナー・マイカル・シネマズ新石巻で開かれ、主演の吉永小百合(67)が出席した。県内外の東日本大震災の被災地から約700人を自費で招待。このほか、劇場の外に集まった約400人には同映画の観賞券をプレゼントした。

 石巻少年少女合唱団21人が合唱曲「あの青い空のように」を歌って歓迎すると、「映画で同じ歌を合唱した。もう一度歌いましょう」と笑顔。子役の飯田汐音(11)菊池銀河(10)と一緒に輪の中に入って歌うと、自然と涙があふれた。「震災後の大変な時期、先生が苦労して子供たちを集めて練習されたんですね。歌声を聴き胸がいっぱいです。ありがとうございました」と声を震わせた。小学校教師役として、子供たちに合唱を教えた自身を重ね合わせたようだ。

 イベントは震災で甚大な被害を受けた映画館「石巻岡田劇場」の菅原聖社長(43)が立案。旧北上川河口から2キロの中州にあった同館は、津波に流されて再開のメドが立っていない。地震の約10日後、劇場の地下に保管していた吉永のサイン入り写真集「SAYURI」(04年発刊)をがれきの中から発見。「300あった座席が一つも見つからなかったのに…驚いた」と驚いた。「北のカナリアたち」を観賞して、テーマである「生きていることの大切さ」を被災地に伝えたい思いもあって上映会を企画。伝え聞いた吉永が「映画が少しでも皆さんの心を温かく、明るくできるのなら」と賛同した。

 美しい合唱には、場内各所からすすり泣く声が漏れた。吉永は「まだまだつらい思いをしている方もいるでしょう。私たちにできるのは大きなことではないが、継続して温かいものをお届けしたい」とサポートを続けることを誓った。

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2012年12月3日のニュース