“女優魂”最後まで 山田五十鈴さん 三味線の音に首を動かし…

[ 2012年7月10日 17:54 ]

 9日亡くなった女優の山田五十鈴さんと44年間、公私ともに付き合いを続けた北村文典さん(66)が10日、東京都千代田区の東宝本社で記者会見し、亡くなる直前の病室での様子など、思い出を語った。

 北村さんは1968年に東宝に入社し、舞台監督や演出家などとして山田さんとかかわった。「エースで4番、ショートの名手でもあった。いろんな女の人を時代を超えて表現できる女優だった」。静御前から春日局まで演じた役の幅の広さをたたえた。

 ずっと「山田先生」「文典ちゃん」と呼び合っていた関係が変わったのは87年、「江戸のまどんな」で北村さんが初めて山田さんの舞台を演出したとき。初稽古の前日に呼び出され、「明日から私は北村さんと呼ぶから、私のことを先生と呼んではいけない」と言われた。若いときに名監督に薫陶を受け、けじめをつける山田さんらしい言葉だった。

 山田さんが10年前に倒れてから、見舞いを続けてきた。9日には容体の急変を知り、病室に駆け付けた。代表作「たぬき」で山田さんが弾いていた三味線の音を流すと、拍子を取るように音楽に合わせて首を動かした。息を引き取ったのは、その数時間後だった。

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