日本を代表する大女優…山田五十鈴さん死去、95歳

[ 2012年7月10日 06:00 ]

91年、文化勲章受章を祝う会に出席した山田五十鈴さん

 日本を代表する女優の山田五十鈴(やまだ・いすず、本名美津)さんが9日、都内の病院で死去した。95歳。大阪府出身。1930年に日活に入社し、女優デビュー。溝口健二、黒澤明ら巨匠の映画に数多く出演。ドラマ「必殺仕事人」シリーズでも人気を集めた。02年6月に体調を崩し舞台を降板。以後は都内の療養施設などで過ごし、公の場所には姿を見せていなかった。

 1930年に日活太秦撮影所長に見初められ、日活入り。いきなり映画「剣を越えて」で、看板俳優だった大河内伝次郎の相手役に大抜てきされた。36年に溝口健二監督の「祇園の姉妹」などで人気が定着。57年には黒澤明監督の「蜘蛛巣城」「どん底」に出演。シェークスピアの「マクベス」を翻案した「蜘蛛…」では三船敏郎さん演じる城主を破滅へと導く妻を、能の様式美を取り入れ怪演。終戦直後、能、狂言に通って得た演技力を見せつけ、キネマ旬報女優賞など各賞を独占した。

 70年代からは舞台を主な活動の場とした。一方で、テレビ朝日の時代劇「必殺」シリーズに出演。得意の三味線をつま弾き、バチを武器にした必殺技で視聴者を楽しませた。

 2002年4月に、宿泊先だった都内のホテルで体調不良を訴え病院に搬送。約2週間後に退院した。しかし体力が戻らず、その約2カ月後の6月、再び体調不良で長野県で予定されていた公演を降板。同年9、10月の東京・芸術座(現シアタークリエ)での舞台「仁淀川」の休演も発表した。

 同時期から、都内の自宅や都内の療養施設で静養。以後、公の場に姿を見せることはなかった。マネジメントを担当していた東宝演劇部関係者が定期的に見舞っていた。

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