名女優また…淡島千景さん死去 87歳、すい臓がんで

[ 2012年2月17日 06:00 ]

死去した淡島千景さん

 「夫婦善哉」などの映画をはじめ舞台、テレビで活躍した女優の淡島千景(あわしま・ちかげ、本名中川慶子=なかがわ・けいこ)さんが16日午前9時40分、すい臓がんのため東京都目黒区の病院で死去した。87歳。東京都出身。昨夏、すい臓がんが見つかったが告知は受けていなかった。先月上旬に入院。この日早朝、容体が急変した。13日の三崎千恵子さん(享年90)に続き、昭和を彩った名女優がまた一人旅立った。

 粉雪が舞う東京都目黒区の閑静な住宅街。淡島さんの遺体は午後1時47分、約25年間住んだ自宅に無言の帰宅をした。白い布に覆われた淡島さんは水色の着物姿。95年に勲四等宝冠章を受章した際に着ていたもので、おいの中川賢也さん(48)は「着せてあげたくて病院に持って行きました」と説明。遺体は2階の寝室横の和室に安置された。

 昨夏、遺作となったTBS「渡る世間は鬼ばかり」の撮影中、胆管炎の疑いで検査したところ、すい臓がんが見つかった。賢也さんによると、がんは「ステージ4だった」という。撮影現場へは病室から通った。

 その後は自宅で静養。今年の正月も例年通り自宅に親族が集まり「自分のことよりも僕たちの体調ばかり気にしていた」という。正月明けに体調不良を訴えて入院。妹のようにかわいがっていた女優の淡路恵子(78)らが見舞いに訪れ「早く元気になって(演技を)やらなきゃと復帰に意欲を見せていた」という。病床からも親族を「がんばんなさいよ」と鼓舞。賢也さんは「自分ががんばらなきゃいけないときに…」と声を詰まらせた。

 15日も目をしっかり開け元気だったが、この日早朝に容体が急変。長年身の回りの世話をしていた女性が寄り添う中、ゆっくりと目を閉じ、静かに息を引き取った。病院からの連絡で親族が駆けつけたが間に合わなかったという。

 宝塚歌劇団の娘役から映画女優に転身。50年、映画デビュー作「てんやわんや」で大胆な水着姿を披露する一方、小気味よいセリフまわしで演技派の一面もアピール。いきなり第1回ブルーリボン賞主演女優賞(当時は演技賞)を受賞した。55年に森繁久弥さんと共演した「夫婦善哉」の演技が高く評価され、大女優の仲間入り。森繁さんとは「駅前」シリーズでも共演。コメディエンヌとしても活躍した。活動の場を舞台に移した晩年は、品のいい女性役で人気を集めた。

 生涯一度も結婚しなかった淡島さん。映画、演劇に全てをささげた名女優の人生が静かに幕を閉じた。

 ◆淡島 千景(あわしま・ちかげ、本名中川慶子=なかがわ・けいこ)1924年(大13)2月24日、東京都生まれ。41年に宝塚歌劇団入団。美貌の娘役トップとして活躍。映画は風刺喜劇「本日休診」のほか小津安二郎監督「麦秋」など200本以上に出演。58年には「蛍火」などで毎日映画コンクール女優主演賞を受賞。テレビはNHK大河ドラマ第1作「花の生涯」(63年)やNHK連続テレビ小説「春よ、来い」(94年)など。88年に紫綬褒章、95年に勲四等宝冠章を受章。

◇淡島千景さん葬儀日程
【通夜】25日(土)午後6時
【葬儀・告別式】26日(日)午前11時
【場所】護国寺桂昌殿=東京都文京区大塚5の40の1=(電)03(3941)0764
【喪主】おい・中川徹也(なかがわ・てつや)氏

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