今後の焦点は「救命の可能性」裏付けできるか

[ 2010年9月4日 06:00 ]

 【押尾被告初公判】田中さんがけいれんを伴う錯乱状態になってから死亡が確認されるまでの“空白の3時間半”に、押尾被告がどう行動したかなどが最大の焦点。異変察知直後に救急車を呼べば救命できたかどうか、検察側が田中さんの死との因果関係を立証できるかどうかがポイントとなる。

 今後について元東京地検検事の大澤孝征弁護士は「証人19人のうち、医療関係者による証言が鍵になる」と指摘。遺体解剖による死亡推定時刻の認定や死因が本当にMDMAによる中毒死かだったのかどうかの判断など「救命の可能性について科学的な裏付けができるかどうか。これに尽きる」とし、さらに「検察側と弁護側がそれぞれ有利となる証人を呼びながらの証言のぶつかり合いが最大の焦点となるだろう」と述べた。
 証人の証言やデータの提示などを含め「検察側と弁護側のどちらに説得力があるのかが最大の注目点」とするのは元東京地検公安部長の若狭勝弁護士。人工呼吸や心臓マッサージなど、するべきことはやったとする弁護側と、ひん死の状態ですぐに救急車を呼ばないのは遺棄にあたると主張する検察側。「こういった両者のガチンコの主張を裁判員がどう判断するのか重要になる」。裁判員の心証が「保護責任」「遺棄」「致死」の認定に大きな影響を与えるもので、「それだけに両者のどちらが裁判員の心をつかむのかが焦点になるだろう」と話した。

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2010年9月4日のニュース