[ 2010年9月4日 06:00 ]

ザ・シンフォニーホールの半分の約800人収容のいずみホールでの演奏風景(C)飯島隆

 「こだわり」の第2は会場であるいずみホール。約800人収容のシューボックス型のホールを東京で探すと紀尾井ホールとほぼ同規模。つまり室内楽やリサイタルをメーン・ターゲットにした中型ホールでオーケストラ・コンサートを行うわけだ。当然、定期公演の拠点であるザ・シンフォニーホール(1704席)における演奏に比べると弦楽器セクションの編成を半分程度に縮小しなければならないし、ダイナミック・レンジの取り方をはじめ音の作り方も大幅に変わってくるはずだ。こうした外的要因によるスタイルの変更が音楽の内面にも何らかの変化をもたらす、というわけだ。

第3の「こだわり」はソリスト。外部から名手を招くのではなく大阪フィルのコンサートマスターや首席奏者ら“自前の音楽家”が交代でソリストを務めていくのもこの企画の大きな特色。これは延原のアイディアだったそうで「メンバーの士気高揚に加えて、アンサンブルの密度をより濃いものにしていくことに繋げる」(事務局)との狙いもある。既に終了した5月の公演ではモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調で首席コンマスの長原幸太が見事なソロを披露したという。

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2010年9月4日のニュース