[ 2010年4月23日 06:00 ]

明快な解釈で難解な曲を分りやすく聴かせたセゲルスタム (C)浦野俊之

 私がマーラーの作品の中に他の作曲家の影響をはっきりと感じ取ったのは、フィンランドの名匠レイフ・セゲルスタムを迎えた読売日本交響楽団の定期演奏会(2月19日)で交響曲第7番ホ短調「夜の歌」を聴いた時のことです。

全体の構成が複雑で難解なためか、演奏される機会が少ないというこの曲。自らが作曲家でもあるセゲルスタムは作品を完全に掌握していることが明快に伝わってきました。それだけに彼のリードは安定感に満ちており、読響も普段にも増してどっしりと地に足をつけた演奏を展開。時折、大胆にも指揮棒を横にぐいと振ってテンポを急に変えるなど、独特の解釈に基づく分かりやすいパフォーマンスで、マーラーの揺れ動く心の内をくっきりと浮き彫りにしていたのが印象的。休憩なしの約80分。「難解」という先入観も何のその、一瞬たりとも退屈することがない、起伏に富んだ演奏に魅了されました。

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2010年4月23日のニュース