[ 2010年4月23日 06:00 ]

セミヨン・ビシュコフ(C)Sheila_Rock

 私がマーラーの音楽に抱いているイメージを列挙してみます。「翳り」「不安定」「束の間の幸せ」「難解…」「世にも美しいアダージョ」等々です。これをコンシェルジェは「世紀末特有の漠とした不安感」「死に対する恐怖」「19世紀末ヨーロッパ(とりわけウィーン)文化の爛熟と退廃的雰囲気」などと素敵に記述していました。ものすごく失礼な言い方なのですが、つまりは複雑な性格で、「ネアカ」人間ではなく「ネクラ」人間であるということなのでしょうか。顔は笑っていても目は笑っていない、そんな表情を想像してしまいます。しかし、意外にも周りを見渡すと、マーラー・ファンの男性が多いことに気が付きます。私もコンシェルジェお薦めマーラー関連の演奏会を巡って、自分なりにマーラーの魅力を紐解いてみたい。というわけで、彼の妻による証言「グスタフ・マーラー 愛と苦悩の回想記」(アルマ・マーラー著石井宏訳 中興文庫)を手引きとしながら演奏に耳を傾けていくことにしました。

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2010年4月23日のニュース