[ 2010年4月23日 06:00 ]

終演後、盛んな喝采に応えるビシュコフとNHK交響楽団 (C)S・Takehara

 マーラーの作品探訪の第1弾として2月13日、NHK交響楽団の2月定期公演からセミヨン(主催者表記:セミョーン)・ビシュコフ指揮による交響曲第5番嬰ハ短調を聴きました。ビシュコフは、肉厚のN響サウンドの中にきっちりとマーラー独特の“翳り”を描いていました。トランペットが華々しく活躍し、低弦とティンパニがお腹にずっしりと響く。少し荒々しさすら感じさせる情熱的なビシュコフの解釈にオーケストラが刺激されて、アグレッシブな演奏に仕上がっていました。中でも第5楽章のコーダは圧倒的。私がビシュコフの演奏を聴くのは08年のパリ国立オペラ来日公演での「トリスタンとイゾルデ」(ワーグナー)、彼が首席指揮者を務めていたケルンWDR交響楽団の来日公演(09年)に続いて3回目。今回、N響とは初共演と思えないほど、互いの個性が上手くかけ合わさった濃密な演奏で、両者の相性は抜群と見受けられました。

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2010年4月23日のニュース