[ 2010年2月27日 06:00 ]

穏やかな調和を大切にしたアンサンブルを披露したロイヤル・ストックホルム・フィル

 スウェーデンを代表するオーケストラが来日すると聞いて、どのようなサウンドを聴かせてくれるのか、興味を持ちました。というのも私は大学生の頃からこの国の文化を強く意識していたからです。きっかけはカーラジオから流れて来た、初めて耳にするような軽妙でしゃれたポップ・ソングだったのですが、それ以来、スウェーデン発のポップスやジャズを好んで聴いてきました。

さて2月22日夜、サントリーホールで行われたサカリ・オラモ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団の特別演奏会。私が初体験したかの国の名門オーケストラは期待に違わぬ確かなテクニックと“らしさ”を持ち合わせたサウンドを聴かせてくれました。
 例えば、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界」の第4楽章。クライマックスに到達し、金管楽器やティンパニーがフォルティシモ(非常に強く)で演奏する瞬間でさえも、調和に満ちた世界が広がっていたのです。常に明晰で柔らかな温かみあるサウンドをキープしていることが、彼らの最大の持ち味だと感じました。「新世界」のように、遠くの国で祖国や故郷を想うといった、心の温もりを表現する曲というのは、彼らにはうってつけなのかもしれません。
 弦楽器が奏でる哀愁を帯びた旋律は、心の琴線に触れるものでした。オラモが1小節ごとに愛でるように指揮する姿も、ジンワリと心に染みてきました。いつの間にか雪が降り積もる夜に、家の中でホカホカとした暖炉の前にあたっているような気持ちにさせられたのです。

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2010年2月27日のニュース