[ 2010年2月27日 06:00 ]

 私の元々の専門であるアートやデザインの分野でいえば、スウェーデンは有名なアーティストよりはデザイナーを多く輩出している国です。アートのように自分自身と対峙して、精神的にアンバランスな部分を埋めていくようなスリリングで創造的な行為よりも、物事を理知的に表現するデザインのほうが得意なのかもしれません。もちろん、この傾向は現代に限ったことではなく、歴史を遡っても同じことが言えます。均整のとれたロイヤル・ストックホルム・フィルのサウンドに包まれながら、そういった気質やスウェーデンを訪れた時の匂いなどを思い出していました。

 コンシェルジェは言います。「小谷さんが感じたロイヤル・ストックホルムの特質は、スウェーデンのお国柄とも大いに関係している。穏やかな調和を基調としたアンサンブルとでもいうのでしょうか。これは、ドイツなど中央ヨーロッパ諸国のオーケストラの演奏スタイルとは趣きを異にしたものです。もちろん、米国やロシアのそれとも全く違う。永世中立国であるスウェーデンは地球上の先進国のほとんどが何らかの形で巻き込まれた20世紀の2度の大戦から距離を置き、1世紀以上に亘って1度も戦火を交えていない稀有な国です。そして世界一の福祉大国としても知られている。そうしたものを大切にしてきた穏やかな国民性や国としての伝統が、音楽の中にも色濃く反映されているのかもしれません」。

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2010年2月27日のニュース