[ 2010年2月27日 06:00 ]

自らの音楽を貫きオーケストラと真っ向勝負の姿勢を見せたアリス=紗良・オット

 そして、当夜の公演の起爆剤となったのが、若手女性ピアニストのアリス=紗良・オットです。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は高いテクニックを持つ彼女の得意な曲だそうです。冒頭から、オケをリードするかのように全身の力を込めてガンガン弾き進めていく。それに触発されたように弦も管も全開になり“真っ向勝負”といった展開になったのです。プログラムに掲載されていたインタビュー記事の中で彼女はこの曲の魅力について次のように語っていました。

「オーケストラの大音量のトゥッティ(全奏)にピアノがフォルティシモで掛け合いして、まるで喧嘩しているようなところも。そこから窺われるように、チャイコフスキーの心の中の2面性というものがとても出ている曲だと思います」
ストックホルムといえば、世界的なデザイン先進都市であり、北欧の中でも発展的な精神に溢れています。紗良・オットが、彼らの奥底にある冒険心のようなものを、かき立てたように見受けられました。

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2010年2月27日のニュース