ミキハウス・立花允夫 13年目のシーズン迎え「最初から出るという気持ちだけは持つようにしています」

[ 2026年2月6日 08:00 ]

入社13年目を迎えたミキハウス・立花
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 ミキハウス・立花允夫にとって、13年目のシーズンが始まった。野手最年長の34歳。積み重ねてきたキャリアは近畿地区でも随一だが、常に危機感と隣り合わせでいる。

 「1年でも長く、という気持ちで毎年やっています。そんなに多くのチャンスをもらえる立場ではないので、そのチャンスを逃さないように。今年が最後ぐらいの気持ちでやっていますし、最初から出るという気持ちだけは持つようにしています」

 天理(奈良)、天理大を経て、ミキハウスベースボールクラブに加入したのが2014年。就職先がなかなか決まらなかった経緯もあり、「自分は拾ってもらった身。感謝しかない」との思いで野球と向き合ってきた。堅実な遊撃守備としぶとい打撃で入社後はすぐに頭角を現し、補強選手も含め16年から24年まで8年連続(新型コロナウイルス感染による22年の不出場はのぞく)で都市対抗野球大会に出場。ミキハウス一筋での13年目シーズンはチーム歴代最長だが、昨季は“勇退”の2文字も頭をよぎったという。

 「代打もある中で打たせてもらったので、後ろにつなぎたかった。最後のバッターになった時は、もう、これで終わりかなというのは自分の中ではありました」

 そう振り返ったのは、昨年の都市対抗近畿地区2次予選。負ければ予選敗退という大阪ガスとの一戦は、2―4の8回から遊撃として途中出場を果たした。すると、2点を追う9回2死走者なしから3連打の粘りを見せ、ついに1点差。なおも一、二塁で立花に打席が回った。大阪ガスはここで左腕・本間悠貴を投入。右の代打も残る中、好機を託されたが、カウント2―2から空振り三振に終わった。立花だけではなく、チームの本大会連続出場も4年でストップ。悔しいワンシーンには違いなかったが、今季も貴重な戦力として認められたことでリベンジの機会を与えられた。立花は言う。

 「残してもらえたことで本当に、ありがたく感じています。会社に対して、結果で良い報告をできるようにという思いはあります」

 もちろん、まだまだ老け込む年ではない。昨シーズン終了後からはさならる高みを目指し、本格的なウエートトレーニングに取り組むようになった。俊敏な動きが長所の一つであったことから、従来は自重系のトレーニングや体幹強化がメイン。心機一転での新たな試みはコンディショニングに加え、打力アップまでも目論む。

 第一線での野球を続ける上で、モチベーションの一つになるのが母・章子さんの存在だ。22年の新型コロナウイルス感染を機に、体調を崩した。「今は順調に回復してくれていますが、母に良い姿を見せられたらいいな、という思いはずっと持っています」。天理小コスモで野球を始めた小学2年から、立花が野球に打ち込む姿をずっと応援してきてくれた。中学3年までの8年間、練習の度に美味しい弁当を作って、送り出してくれた母への恩返し。グラウンドに立ち続けるという事実は、母の回復を後押ししてくれる大きなパワーとなる。

 「自分が“ここでいいかな”と思ったら、(ポジションを争う)後輩も伸びてこない。僕にはそういう役割もある、と」

 東京ドームへの道のりが一旦は途切れてしまったからこそ、今季の戦いはチームにとっても、立花にとっても大きな意味を持つ。再出発への第一歩。三重県伊賀市のグラウンドには、真冬とは思えない熱気が漂っていた。  

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