ドラフト会議直前【逸材ファイル】三刀屋のロマン砲、高野颯太

[ 2023年10月23日 05:45 ]

木製バットで快音を連発する三刀屋・高野颯太(撮影・長嶋 久樹)
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 今年のドラフト会議が26日に迫った。1位指名候補が7投手も集結する東都リーグが注目を集める傍ら、中央球界以外にも将来有望な逸材が運命の日を心待ちにしている。スポニチでは「逸材ファイル」と題し、注目選手を3回にわたって紹介。第1回は三刀屋(みとや=島根)の高野颯太(3年)。 動画はこちらから

 島根の県立校に飛ばし屋がいる――。情報を耳にしたNPB12球団のスカウトが宍道湖から約20キロ南下したところにある高校を訪れた。そこで、うわさにたがわぬ打球を放っていたのが高校通算29発を誇る右打ちの三塁手・高野だ。「体格を生かして飛距離を出せるのが一番の特徴です」。体重90キロの肉体はロマンにあふれ、8球団から調査書が届いた。

 4月に実施されたU18高校日本代表候補の強化合宿に、甲子園出場1度の公立校から招集され話題を集めた。しかし左手有鉤(ゆうこう)骨の疲労骨折で打撃練習に参加できず、夏直前まで本調子を取り戻せなかった。今夏の島根大会では、先頭打者本塁打を放つも初戦敗退。高3での実戦機会は限られただけに、スカウトでさえ、大器の本領をつかみ切れていないかもしれない。それでも「本塁打王を獲れる選手になりたいです」と本気で語る高野の一発長打には、夢が詰まっている。

 国分健監督に「プロ野球選手になりたいです」と伝えて三刀屋に進んだ。何よりもよく食べた。回転ずしは40皿を平らげ毎晩丼3杯の白飯をかきこんだ。ウエートトレーニングにも力を入れ、高校生離れした肉体と飛距離を手に入れた。

 5歳の頃、島根県のスポーツ用品店に訪れた前田健太(現ツインズ)を見て「僕もプロ野球選手になりたい」と夢が決まった。小1で野球を始め、父・裕明さんとこなす約3時間のティー打撃を日課とした。「中学までは遠くに飛ばせる選手ではなかったです」。誰よりもバットを振って、食べて、プロ注目選手にまで上り詰めた。

 ドラフト指名されれば、来年で創立100周年を迎える同校初の快挙となる。「地域の方に声をかけてもらい、応援していただきました」。縁結びの町、出雲市出身。長打にほれた球団と運命の糸で結ばれると信じている。 (河合 洋介)

 ◇高野 颯太(たかの・そうた)2005年(平17)7月28日生まれ、島根県出雲市出身の18歳。小学1年から高松野球スポーツ少年団で野球を始め、投手と遊撃手を務める。浜山中では軟式野球部に所属。三刀屋(島根)では1年春に背番号16でベンチ入りし、1年夏から背番号5。50メートル走6秒2、遠投100メートル。1メートル76、90キロ。右投げ右打ち。

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