関西シリーズ待ち切れん!! 阪神&オリックス番記者が“対決” 日本一へのキーマンに指名したのは…

[ 2023年10月23日 05:15 ]

素振りをする阪神・佐藤輝(撮影・大森 寛明)
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 28日から始まる日本シリーズを前にスポニチの阪神担当キャップ・倉世古洋平記者とオリックス担当・中澤智晴記者がひと足先に“対決”した。岡田、中嶋両監督の共通点や違い、キーマンなど、59年ぶり2度目の「関西シリーズ」の見どころを語り合った。

 中 澤 前回1964年は東京五輪の年。資料を見ると、南海が日本一を決めた第7戦は五輪開会式と同じ10月10日で、甲子園球場の観衆は約1万5000人だったそうだ。

 倉世古 今では考えられない。今季の甲子園で大入りにならなかったのは1試合だけ。交流戦の予備日で月曜日だった。今回は両球場とも「阪神なんば線」で行ける。阪神電鉄の関係者は大喜びだ。

 中 澤 オリックスは前身が阪急で、今は阪急阪神ホールディングスがタイガースを傘下に持っている。歴史の因縁も感じる対決だ。

 倉世古 12年に途中解任された岡田監督にも因縁がある。普段からいろいろな話をするのに、オリックス監督時代については、ほとんど語ったことがない。

 中 澤 岡田監督が日本シリーズを戦った前回05年は阪神担当。第1戦の記憶が強すぎる。ロッテに大差をつけられて、最後は濃霧コールドゲーム。何も良さを出せなかった。結局4戦全敗で合計スコアは「4―33」。当時のセはCSがなく、試合間隔が空いたのが響いた。

 倉世古 岡田監督は「前の時は03年に優勝したチームだから」という言い方をよくする。円熟期の選手が多かった。今年は若い選手が多く、自分でつくり上げたという感覚が強い。力量以上のモノは出ないと思っているから、適材適所で役割を与え、固定しながら戦ってきた。

 中 澤 対照的だ。1、2軍の入れ替えが多い。全員を戦力として見て、メンバーは常に代わる。コーチ陣も1、2軍を分けているのは監督だけだ。

 倉世古 両監督とも現役時代に仰木彬さんの下で学んだ。岡田監督は「ビックリした。メンバーを入れ替えても、それが当たるから」と。そういう野球を見た上で今の野球がある。

 中 澤 中嶋監督はメディアには口数が少ないが、選手とはフランクに話をしている。2軍に落とす時も直接伝える。2軍戦も常にチェックしているから、「ここを頑張れば1軍に上げる」と送り出している。それこそが「中嶋マジック」だと思う。

 倉世古 岡田監督は新聞を介しての“会話”が基本。この、さじ加減が絶妙だった。例えば大山。普段は打てなくてもほとんど言わないが、そろそろマズい…という時にピリッとした言葉をメディアに発し、下降線に歯止めがかかったりする。選手もみんな語録を読んでいる。采配勝ちが多く、選手も監督から野球を学んでいる節がある。岡田監督からすれば、今季は相手監督との采配合戦には物足りない感じだった。

 中 澤 中嶋監督は作戦では奇抜なことはしない。試合になれば相手が勝手にこけてくれる。オリックスにミスが少ないから相手への重圧になり、少し隙があれば一気に突き崩してきた。

 倉世古 それはまったく同じ。岡田監督も「普通にやればいい」が常とう句だ。

 中 澤 6月の交流戦ではオリックスが2勝1敗で勝ち越した。実は山本由伸が今季を振り返った時に「ベストピッチの3試合」のうちの1試合に挙げたのが、6月13日の阪神戦だ。村上と投げ合って被安打2で8回無失点。打たれる気がしなかった。

 倉世古 阪神が今年1年を通じて一番チーム状態が良くない時期が交流戦だった。当時と今ではチームとしての仕上がりが違う。岡田監督も「強くなった」と自信を持っている。加えて言えば、京セラドームは8戦全勝で地の利もある。

 中 澤 キーマンを挙げるなら、やはり由伸だ。担当記者として登板日は常にノーヒットノーランの可能性を気にしながら見ている。そんな投手は初めて。

 倉世古 阪神のキーマンは佐藤輝だ。出塁率上位10傑に3人がいるから、走者を置いて、よく5番に回る。ムードメーカーでもあり打てば勢いづく。

 中 澤 森の起用法も焦点だ。DHのない甲子園で、どこを守らせるのか。山岡にも注目したい。今季途中から配置転換されてプロ初セーブを挙げた。基本は平野佳と山崎颯だけど、山岡もいることで層が厚くなった。

 倉世古 8月以降は最後に投げる岩崎を除いてイニング途中の継投が増えた。広島とのCSでも1イニング3投手の投入があった。6回以降をどうつなぐか。日本シリーズは40人枠から1試合ごとに26人のベンチ入りを選べる。ブルペン陣の構成を含めて、岡田監督がキーマンといえる。

 中 澤 予想を立てるなら、4勝1敗と言いたいが、4勝2敗でオリックスだ。実は担当記者として“出場”した日本シリーズは01年近鉄と05年阪神で計1勝しかしていない。そこが唯一の不安材料だ。

 倉世古 広島とのCSでも3試合とも僅差で制した。山本や宮城ら難敵に対しても競り合えば勝機は十分にある。4勝3敗で阪神とみている。好勝負の予感がする。

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