明大・蒔田が「肥後もっこす魂」で快投 広島スカウト「自信を持っている」 4年ぶりVへあと2勝

[ 2023年6月8日 18:59 ]

全日本大学野球選手権準々決勝   明大5―0仙台大 ( 2023年6月8日    神宮 )

<明大・仙台大>力投する明大・蒔田(撮影・木村 揚輔)
Photo By スポニチ

 準々決勝4試合が行われ4強が出そろった。昨秋の明治神宮大会優勝の明大が5―0で仙台大に快勝。プロ注目の最速150キロ右腕・蒔田稔投手(4年)が先発し、7回を1安打無失点と好投した。九州学院(熊本)時代に、2学年先輩のヤクルト・村上とバッテリーを組んだ。あさって10日の準決勝では初めて4強入りした白鴎大と対戦する。

 肥後もっこす、とは熊本県人の気質を表した言葉だ。一度決めたらテコでも動かないというほどの頑固さ、妥協せずに自分を押し通す気持ちの強さが特徴である。熊本県八代市出身の蒔田が「肥後もこっす魂」を見せた。

 昨年大会で敗れた「鬼門」の準々決勝。1年前、2回途中で右手に打球が当たり、負傷降板した蒔田がリベンジだ。プロ注目の右腕は先発で7回を1安打無失点6三振と、文句なしの投球で勝利に導き「たいぎゃ(大変)うれしい」と熊本弁で喜びを表現した。
 
 「自分の持ち味は質の良い真っすぐと緩急」。その「強み」を押し通した。自己最速まで2キロに迫る148キロを計測した直球に110キロ台のカーブを織り交ぜて幻惑。視察した広島・苑田聡彦スカウト統括部長は「スピードも切れも出てきた。自信を持って投げている」と高評価した。

 九州学院(熊本)時代、バッテリーを組んだ2学年先輩の村上はヤクルトで大活躍。プロに「自分も行きたい」という強い気持ちはテコでも動かない。ドラフト前、最後の全国大会に「アピールしないとプロは厳しい」と背水の陣で挑んだ。

 地方から東京に出てきた選手は徐々に方言を忘れる。それでも蒔田は「そぎゃんです(そうです)」と現在も言う。投球も方言も己を押し通す「肥後もっこす」が、4年ぶりの優勝へ腕を振る。(柳内 遼平)


 ◇蒔田 稔(まきた・みのる)2001年4月17日生まれ、熊本県八代市出身の22歳。太田郷小3年時に野球を始める。九州学院では甲子園出場なし。明大では2年秋からベンチ入り。リーグ通算26試合に登板し、8勝4敗で防御率2・81。好きな曲は熊本の民謡「五木の子守り唄」。地元自慢は「電車の車両が2両編成」。1メートル78、83キロ。右投げ右打ち。


 ▼明大・田中武宏監督 去年の「チーム・村松」を超えるには今日勝たないと超えられない。今日だけのことを考えて全員で臨んだ。それができてよかった。府中のグラウンドでやっている成果を投打ともに出してくれていると思います。

 ▼明大・上田主将 勝ち上がっていくと、いろいろな期待を受けますが、先のことを考えずに一戦、一戦、頑張ろうと(選手に)伝えました。チャンスをつくるのも自分の役割だと思うので、次の試合でも初回からチャンスをつくるバッターになりたい。

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年6月8日のニュース