鹿屋体大・川瀬 8強導くランニング弾 近大破り国立大最多タイ2勝 最先端設備駆使の強化実った

[ 2023年6月8日 06:15 ]

全日本大学野球選手権2回戦   鹿屋体大5―1近大 ( 2023年6月7日    神宮 )

<鹿屋体大・近大>8回、ランニング本塁打を放ち、生還する鹿屋体大・川瀬(左)(撮影・木村 揚輔)
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 初出場の鹿屋体大は優勝4度の強豪・近大を破る金星を挙げた。国立大の1大会2勝は98年京都教大、10年北大に次ぐ史上3度目の快挙で、準々決勝進出を決めた。日本唯一の国立体育大学らしく、最先端の研究設備を駆使して投打ともに成長。川瀬虎太朗内野手(1年)はランニング本塁打を含む3安打1打点で打線をけん引した。

 アクセル全開で、ダイヤモンドを駆け抜けた。4―1の8回。鹿屋体大の1年生・川瀬が直球を右中間へ運ぶと、打球は無人の外野を転がった。勝利を近づけるランニング弾。「ライトフライかなと思ったんですけど、ああいう形になってよかった」とかみしめた。

 正真正銘の金星だった。初戦で初出場初勝利を挙げた勢いそのままに、優勝4度の近大を11安打5得点で撃破。部員不足で一時は活動休止に陥ったチームが、国立大3校目の2勝を手にした。

 日本で唯一の国立体育大の強みを存分に生かした。10年前までは選手がサインを出すなどサークルに近い雰囲気だったが、近年は最先端の研究設備を駆使。ハイスピードカメラや人の動きをデータ化するモーションキャプチャーを用いた動作分析で、打撃や投球フォーム改善に取り組んできた。さらに、ラプソードやトラックマンで打球角度や速度を測定するなど、選手の課題を「見える化」することで練習効率が格段に上昇。川瀬はバットが遠回りするドアスイングを克服し、「分析で競技力が上がった。良い結果につながっている」と効果を語った。

 8日の白鴎大との準々決勝を前にしても、気負いはない。「全日本で勝つためにやってきた」と藤井雅文監督。「旋風」はまだまだ止まらない。(柳内 遼平)

 ◇川瀬 虎太朗(かわせ・こたろう)2004年(平16)7月6日生まれ、山口県下関市出身の18歳。5歳から野球を始める。彦島中ではヤング下関マリナーズに所属。広陵(広島)では2年秋から主将で3年春の選抜に出場。高校通算3本塁打。憧れの選手はソフトバンク・今宮。1メートル67、70キロ。右投げ右打ち。

 ▽鹿屋体大 1981年(昭56)創立で、日本では唯一の国立の体育大学。学生数は781人(23年5月1日時点)。野球部は84年創部で部員数79人。04年のアテネ五輪女子競泳800メートル自由形で金メダルの柴田亜衣はOG。学校所在地は鹿児島県鹿屋市白水町1。

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