【虎番が見た2022年】中野に見た「2年目のジンクス」の正体 アウトへの恐怖心から盗塁企図数減少

[ 2022年12月31日 08:00 ]

今季終盤、盗塁数が伸び悩んだ中野

 良いことも、悪いことも、いろいろあった――。2022年の阪神を担当記者が振り返る「虎番2022プレーバック」。スポニチが誇る6人の虎番が個々にテーマを設定し、通常の紙面記事とは異なるネタ、目線、切り口で紹介する。

 中野は今季、2年目のジンクスに陥っていた。安打数も本塁打数も打率も新人の昨季を上回り、「そんなバカな」と思う方がいるかもしれない。しかし、こと盗塁に関しては、盗塁王を獲得した昨季の30個に及ばないにしても、リーグ4位の23盗塁を記録しながら、もがいていたのだ。

 シーズン終盤にこんな言葉を漏らした。

 「自分の盗塁失敗でもしチャンスをつぶしたら?そのリスクを考えると、なかなかスタートを切れなかった」

 アウトへの恐怖心は、月別の盗塁企図数に顕著に表れた。

 3・4月=7回(失敗1)
 5月=8回(失敗1)
 6月=4回(失敗1)
 7月=3回(失敗2)
 8月=5回(失敗2)
 9・10月=3回(失敗0)

 この2年間、自分の判断で、いつでも走っていい「グリーンライト」の指示を受けていた。今季前半は積極的に仕掛けながらも、クライマックスシリーズ進出がかかった9・10月は3回しかスタートを切れなかった。昨年は、ヤクルトと激しい優勝争いをした10月に6度試みて全て成功していただけに、その差は大きい。疲労だけが原因ではなかった。

 「アウト一つの重みを知ったというか。去年はガムシャラに走れていたけど…」

 活躍した翌年に成績を落とす「2年目のジンクス」。研究されて弱点を突かれることが根本だろうが、「怖さ」を知ることで思い切りが影を潜めることも、力を発揮できない原因の一つではないだろうか。中野の言葉から、ジンクスの正体が少し見えた気がした。(阪神担当・倉世古 洋平)

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2022年12月31日のニュース