「仕事の一つだと思う」 広島・会沢が見せた男気 年俸大幅減、選手会長でも貫いた金額公表への思い

[ 2022年12月31日 08:00 ]

契約更改を終えて会見に臨む会沢(撮影・河合 洋介)
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 広島は、来季所属する選手との契約交渉を全て年内に終えた。例年同様、主力には契約更改後に記者会見が用意されていたものの、記者としてはこれまでとは異なる手探りな部分もあった。今月5日に行われた労働組合・日本プロ野球選手会の定期大会で、選手が年俸額を公表するかが話し合われたからだ。選手会関係者は「家族への誹謗(ひぼう)中傷にもつながりかねない。(報道機関には)選手の立場に配慮して、記事を作成してほしい」と主張し、契約更改が本格化する前に報道陣をけん制していた。

 振り返ってみると、年俸額を公表した「人数」に関しては、前年とさほど差がなかったように感じる。以前から公表を控えていた選手は、選手会の主張を用いたりして非公表を希望した一方、躊躇(ちゅうちょ)なく金額を明かす選手もいるなど対応はさまざまだった。

 その中で、広島・会沢翼捕手(34)が記者会見の席で「4000万円ダウンです」と金額を明かしたのは意外だった。会沢は日本プロ野球選手会の会長を務めている。つまり会長としては、金額に関する取材に配慮を求める立場にいる。ただし、会沢自身は公表をためらわなかった。その理由は明確だ。

 「選手会の(定期大会の)ときにも言ったけど(年俸額の公表は)個人の自由。僕は、公表することもプロ野球選手の仕事の一つだと思っている。だから言わしてもらった。(成績が)ダメだったら(年俸が)下がるけど、良ければ上がる。人それぞれの考え方がある。僕自身は良いことも悪いこともしっかりと受け止めてやっていきたいという考えを持っている」

 選手会も年俸額の公表が少年少女に夢を与えることにつながると理解していると言う。野球振興への貢献の仕方は人それぞれ。その上で、年俸額の公表を希望する選手が今後も大きく減ることなく発信し続けていけば、プロ野球はオフシーズンも話題に事欠かないスポーツであり続けられると思う。(記者コラム・河合 洋介)

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2022年12月31日のニュース