【虎番が見た2022年】若返った猛虎に宿る糸井の「レガシー」 後輩に見せてきた「必死」な姿勢

[ 2022年12月31日 08:00 ]

アメリカンノックでボールに向かって走る糸井

 良いことも、悪いことも、いろいろあった――。2022年の阪神を担当記者が振り返る「虎番2022プレーバック」。スポニチが誇る6人の虎番が個々にテーマを設定し、通常の紙面記事とは異なるネタ、目線、切り口で紹介する。

 糸井の引退で阪神は一気に若返った。日本人選手最年長は来季33歳シーズンの西勇、二保だ。そんな若手の台頭が著しいチームにおいて、超人はしっかりと「レガシー(遺産)」を残していた。

 「年がかなり離れているので、年下の選手に気を使わせないようにやりたい」

 今年の春季キャンプからチーム最年長のベテランは周囲に気を配りつつ、プレーしていた。その中でも、背中で威厳を示してきた。例えば春季キャンプ初日からの全体メニュー完走。春季キャンプ序盤といえば、レギュラークラスやベテランは調整を一任されることが多い。だが糸井は違った。若手に交じってともに汗を流した。レギュラー奪回へ向けた自身のアピールもあったが、同時に「この年でも必死になってやっている姿を見せたかった」。無我夢中で、白球を追いかけた。

 開幕戦で本塁打を含む3安打4打点と大暴れ。超人健在を誇示したが、徐々に調子は下降線をたどり、7月下旬には2軍降格した。それでも鳴尾浜球場には、腐らず、前を向く超人の姿があった。2軍戦出場後も打ち込みを行うなど、若手の見本となった。当時2軍監督の平田ヘッドコーチも「若い選手の良い見本になってくれた。野球に対する姿勢は感心する」と証言する。

 19歳下の小幡は「気軽に話しかけてくれて、いつも楽しくやらせてもらった」とこうべを垂れる。年齢が離れていても、実績が桁違いでも、対等に接して汗を流した。その背中が若虎を引きつけた。

 来季は30代後半の選手が不在。だが心配はない。必ずや「糸井イズム」の後継者が出てくる。それが誰になるか、今から楽しみだ。(阪神担当・長谷川 凡記)

続きを表示

野球の2022年12月31日のニュース