【虎番が見た2022年】飛躍につながるドラ1・森木の「8回2/3」 期待と重圧感じながら経験した1軍

[ 2022年12月31日 08:00 ]

9月10日 DeNA戦の3回、DeNA打線につかまった森木
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 良いことも、悪いことも、いろいろあった――。2022年の阪神を担当記者が振り返る「虎番2022プレーバック」。スポニチが誇る6人の虎番が個々にテーマを設定し、通常の紙面記事とは異なるネタ、目線、切り口で紹介する。

 感情をあまり表に出さず、大人びている――。森木に漂うイメージだ。実際に接してもそう感じていた。だが「阪神ドラフト1位」への期待と重圧は想像以上に大きく、重かった。右腕も人知れず、さいなまれていた。

 出足は順風満帆に見えた。プロ初先発は8月28日の中日戦。緊張するどころか、1番・岡林へ投じた初球の真ん中低め152キロ直球は、同じく高卒1年目に藤浪がデビュー戦で投じた初球よりも2キロ速かった。以降も最速154キロの直球を主体に5回まで1安打無失点。結果的には6回4安打3失点で敗戦投手となったが、堂々たるデビュー戦といえた。

 ところが、その試合からプロ初の中5日で登板した9月3日ウエスタン・リーグ広島戦から調子が下向いた。先発して2回2/3を4失点。次の1軍登板への調整の意味合いが大きかった一戦で、予定の3回に届かない。その夜だ。不安や焦燥感を表す「凶夢」を見た。

 「白く塗られた部屋の中に自分が一人だけいて、家具も何もない所で誰かをずっと探してるんです。誰かは分からなかったですが、怖かった。うなされるように起きました」

 普段は1日7時間以上睡眠を徹底。1軍初先発前夜も快眠したほどの強心臓…だが、以降は体験したことのない疲労やストレスが心身に響いた。人前では「疲れですかね~」と笑い飛ばしたが、プロ2戦目の9月10日DeNA戦は2回2/3を5失点。シーズン前に掲げた「1年目で1勝」は達成できなかった。

 「今年は何もできなかった一年でした」。そう振り返るが、決してそんなことはない。期待と重圧を感じながら1軍で経験した「8回2/3」が、必ずや飛躍への糧となる。(阪神担当・石崎 祥平)

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2022年12月31日のニュース