【虎番が見た2022年】「二塁で殺す」湯浅は守備でもアツアツ 「先発0のGG賞受賞」も狙える

[ 2022年12月31日 08:00 ]

「先発0のゴールデングラブ賞」の偉業を狙う湯浅

 良いことも、悪いことも、いろいろあった――。2022年の阪神を担当記者が振り返る「虎番2022プレーバック」。スポニチが誇る6人の虎番が個々にテーマを設定し、通常の紙面記事とは異なるネタ、目線、切り口で紹介する。

 圧倒的な投球がクローズアップされやすい湯浅だが、この場を借りて右腕のフィールディングについて記したい。今季のゴールデングラブ(GG)賞の投票で救援ながらセ・リーグ6位の11票を獲得。「11票入ったの、すごくないですか?」と笑っていたが、私にとってみれば、当然のランクインだった。

 4月8日広島戦。その2イニング目、延長11回の動きが目に焼き付いている。先頭・上本へ15球の勝負の末に四球を与えて嫌な空気が漂ったが、それを自ら振り払った。続く堂林のバントを捕球即、二塁送球し、鮮やかな併殺を完成させた。開幕から不振のチームをもり立てた「超」の付くファインプレーだ。

 湯浅に水を向けると、本人が今季一番に選んだのは6月24日の中日戦での守備だった。8回1死二塁で青柳を救援。溝脇の一塁方向寄りの投ゴロを捕球するや、振り向きざまに三塁へ送球し、飛び出した二走の俊足・加藤翔を二、三塁間で挟殺。その後の味方の勝ち越しを呼び、プロ初勝利につなげた。

 「ノックとかも好きです。アメリカンノックとか、みんな嫌がるじゃないですか?逆に好きなんですよ」。中学までは主に内野手。培われた技術と向上心…に加え、ある試合で口にした「二塁で“殺すつもり”で投げた」というコメントは、常に強気を掲げる投球の信念にも通じる。

 もちろん、“11票”は通過点だ。「やっぱり浅尾さんはすごいです」。くしくも今春キャンプで中日・金子スコアラーが湯浅を評する上で引き合いに出した浅尾拓也(元中日)以来、史上2人目となる「先発0のGG賞受賞」も、この男なら不可能ではない。(阪井 日向記者)

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