西武・熊代 突然の要請に驚きも…愛する息子のために「コーチ」で夢かなえる

[ 2022年12月29日 05:45 ]

西武一筋12年、チームのムードメーカーだった熊代(撮影・木村 揚輔)
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 残り3日となった2022年。プロ野球界では新たな一年を前に、ドラフト会議で126選手(育成含む)が指名された。一方で、多くの選手たちがユニホームを脱ぎ、新しい人生をスタートさせる。年末恒例の「惜別球人」で去りゆく選手を紹介する。

 【西武・熊代聖人】ライオンズ一筋12年、試合前の「訓示」で知られるムードメーカー熊代の現役生活は、突然幕を閉じた。

 「来年に向けてオフはどういうトレーニングをしようかな」。そう思案していた10月17日、突然の戦力外通告。その場で2軍外野守備走塁コーチ就任の要請を受けた。「引退後、いつかはやってみたい」と考えていたコーチ業だったが、あまりの展開の早さに「頭も気持ちも全然追いついていなかった」。それでも2日後には新コーチとして、若手がフェニックス・リーグを戦う宮崎に飛んだ。今はパ・リーグ5球団全投手の癖などを頭に叩き込むため、一日に数時間、iPadとにらめっこする日々だ。「熊代コーチ」という呼称には慣れないが「1軍にポーンと放り込まれても困らないような何事にも強い選手を育てたい」とやりがいを感じている。

 13年9月29日のロッテ戦。試合中に長男の海聖くんが産声を上げ、延長10回に自身初のサヨナラ打を放った。2歳半でバッティングセンターの球にバットを当てた愛息は、先日行われた地域の小学3年生以下の大会で投手としてMVPを獲得した。「将来ライオンズに獲ってほしい。それまでコーチでいたいと思います」。一つの夢ができた。(花里 雄太)

 ◇熊代 聖人(くましろ・まさと)1989年(平元)4月18日生まれ、愛媛県久万高原町出身の33歳。今治西では投手兼外野手として2年だった06年夏から3季連続甲子園に出場し、3年夏は8強入りした。日産自動車、王子製紙を経て10年ドラフト6位で西武入り。1メートル75、77キロ。右投げ右打ち。

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