オプトアウト、エスカレーター、J・ラッキー、メッツ千賀の契約に含まれる3つの条項

[ 2022年12月20日 11:56 ]

メッツの入団会見に臨み、背番号34のユニホームを披露した千賀(撮影・杉浦大介通信員)
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 千賀滉大投手(29)のメッツとの5年総額7500万ドルの契約に3つの条項が含まれている。

 まずは「オプトアウト条項」。23年から3年の間に400イニング以上投げれば、5年契約からオプトアウトしてFAになれる。今回メジャー球団の間では肘のケガへの危惧があり、ローテーション投手と見るチームもあればブルペンで投げた方が良いというチームもあった。おかげでFA市場の前評判では、クリス・バシット(ブルージェイズと年平均2100万ドルで契約)、タイワン・ウォーカー(フィリーズと平均1800万ドルで契約)より上だったのに、年平均1500万ドルと下回った。千賀がメジャーで先発投手でしっかり活躍できると証明できれば、オプトアウトし32歳のオフに再び自身の価値を問い直せる。

 次に「エスカレーター条項」。千賀がトップ投手の実力を発揮し、サイヤング賞投票で1位になれば200万ドル、2位から5位に入れば100万ドルと年俸がエスカレーター式に上昇する。全く同じ条項がダルビッシュ有投手の18年からのカブスとの6年契約にも含まれており、ダルビッシュは20年にサイヤング賞投票で2位に入ったことで、年俸が毎年100万ドルずつ上昇した。22年も元は1900万ドルだったのに2000万ドルに上がっていた。

 一方で5年総額7500万ドルの投資をしたメッツを保障する条項も入っている。5年契約が終わった後の28年のチームオプションだ。千賀が5年の間にトミージョン手術を受けるか、肘のケガで、130日以上連続で負傷者リストに入っていた場合は年俸1500万ドルでもう一年残留させるかどうかを球団が決められる。これはいわゆる「ジョン・ラッキー条項」の流れを汲むもの。09年12月ジョン・ラッキー投手がレッドソックスと結んだ5年契約は「もしケガでフルシーズン休むことがあれば、契約が終わった翌年(15年)はチームに選択権があり、MLBの最低年俸で投げるというもの。実際11年オフに手術を受け、12年は全休。13年に復帰しレッドソックスの世界一に貢献。14年のトレードデッドラインでカージナルスにトレードされ、15年はカージナルスで年俸50万7500ドルで投げた。そのオフ、カブスと2年総額3200万ドルで契約。16年は再び世界一の栄誉に浴した。

 マリナーズのエースだったフェリックス・ヘルナンデスも13年に7年契約を結んだ時、右肘で故障者リストに130日以上入ったシーズンがあれば、20年はチームに選択権があり、年俸百万ドルで投げるという条項が入っていた。もっともヘルナンデスは右肘で長期離脱することはなかった。(奥田秀樹通信員)

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2022年12月20日のニュース