ソフトBの「下克上」男・仲田慶介 ドラフト最下位指名とは思えない逸材に小久保2軍監督「やりよるよ」

[ 2022年12月20日 08:00 ]

<ソフトバンク・筑後鷹>左打席で打撃練習を行う仲田慶介(撮影・中村 達也)
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 ドラフト「128番目の男」が、勝負の2年目に挑む。毎週火曜日にソフトバンクのファーム情報をお届けする「筑後鷹」。第8回は育成野手の仲田慶介(23)。外野手登録のまま、二塁手に抜てきされると両打ちと快足を武器に攻守で猛アピールした。21年ドラフト会議で最後に指名を受けた育成14位だが、小久保裕紀2軍監督(51)のイチ推し。支配下の可能性を感じさせる背番号155だ。

 昨秋のドラフト会議。12球団指名選手の“トリ”を飾ったのが仲田だった。育成14位、全体での128番目の男として逆に注目を浴びた。決意を色紙に表すよう頼まれると「下克上」と書いた。下から上しか見ずに、22年を駆け抜けた。ここまでのアピールは順調だ。小久保2軍監督は、仲田のことを問われるとうれしそうに話す。

 「最後の最後の(指名)選手なんやけど、あいつはやりよるよ。スイッチヒッターで打撃もいいし外野から松山(内野守備走塁)コーチが二塁に抜てきして、それが天才的な守備をする。練習への取り組む量も断トツ」

 快足、両打ち、堅守に加えて仲田には努力する才能がある。実際、やりすぎてルーキーイヤーは出遅れた。入団とともに専属トレーナーを付けた。練習過多で腰椎分離症が再発し離脱したが、6月30日のウエスタン・リーグ阪神戦(タマスタ筑後)で実戦初先発初安打。アピールの号砲を鳴らすと股関節の柔軟性を見た松山内野守備走塁コーチが、7月から二塁へ転向させる。中学生以来の経験だったが感性で守った。

 「どこでも守れるのが前提で、とにかくまだまだ打てないとチャンスはない。来季、支配下になって1軍デビューしたい」と本人は謙虚だが、来季から1軍内野守備を担当する松山コーチは「仲田は、おもろいで。打球を捕った際のグラブの音が抜群にいい」とそのセンスを称える。

 大学から独学で両打ちにした打撃では、左打席に収穫。「150キロの直球を一発で仕留めるようになった。あとは出塁率。2軍での打率が2割7分くらいだったので、同じくらいはいきたい」と言う。シーズン終了後に小久保2軍監督に告げられた課題は、左投手の左右打席での内角への対応と小技。「詰まるケースが多かったと言われました。あとはチーム打撃、つなぎの部分です」と追い求める課題は明確にある。

 来季から4軍制が始動する。それに合わせるように今秋もまた、ドラフトで14人の育成選手が加わるが「やるか、やらないかだけです」。来季24歳の仲田は大して気にしない。上だけを見ている。 (井上 満夫)

 ◇仲田 慶介(なかた・けいすけ)1999年(平11)7月25日生まれ、福岡市出身の23歳。福岡大大濠3年春にセンバツ8強、同夏に背番号「8」で出場も県決勝で敗退。福岡大から両打ちにし、遠投120メートルの強肩を独自の練習法でつくった。1メートル75、77キロ、右投げ両打ち。

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2022年12月20日のニュース