【独占手記 吉田正尚】妻のゆり香のサポートは感謝しかない。張り詰めた日々は2人の娘が笑顔にしてくれた

[ 2022年10月3日 08:30 ]

パ・リーグ   オリックス5‐2楽天 ( 2022年10月2日    楽天生命 )

頓宮(手前右)に水をかける吉田正(右)。奥左は跳びはねる山本(撮影・篠原岳夫) 
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 オリックスが2日、2年連続14度目のパ・リーグ優勝を達成した。首位チームの同率決着はプロ野球史上初で、前日2位からシーズン閉幕日に逆転Vもオリックスが同史上初となった。リーグ史上2番目となる最大11・5ゲーム差からの逆転劇で、2年連続でマジックが一度も点灯しない連覇もプロ野球史上初だ。「史上初」ずくめの歴史的連覇の原動力となった主砲・吉田正尚外野手(29)が、本紙に独占手記を寄せた。

 みんなの思いが通じた歴史的な優勝だと思う。仙台での試合が終わって、2分後に優勝が決まった。すごい確率で引いたと感じた。優勝と2位では全然違う。去年は無観客の京セラドームでの優勝決定だったけど、今年はファンの前で143試合目に決めて、連覇を果たせた。本当にうれしい。一生の思い出に残る優勝になった。

 多くの人に支えられた一年だった。妻のゆり香のサポートは本当に大きかった。コロナ感染もあり、ケガもあった中で支えてくれて感謝しかない。食の大切さを痛感する。バランスを考慮した食事を徹底管理してくれた。管理栄養士の資格を持っているのに、今でも他の栄養士の方のオンライン講義を受けるなどしていてプロ意識の高さを感じるし、心強いなと思う。

 張り詰めた日々で、2人の娘が笑顔にしてくれた。自宅では長女と一緒にパズルをして遊んだりするが、何でも自分でやりたがる性格なのか、僕が手を出すと最初からやり直す。僕の子どもの頃と似ているのか分からないが、子どもたちが無邪気に笑っている姿を見るのは、心が明るくなる。大事な存在だ。

 チームとしての成長を感じる部分としては、ミスをしなくなったこと。これまで「ここで、そんな失策する?」というのが多々あった。確実にアウトを取って、確実に点を取る。1点を取って、1点をやらない。その積み重ねから、力がついてきていると感じる。「失敗を恐れず、アグレッシブにやればいい」という中嶋監督はじめ首脳陣の指導が、いい方向に向いている。

 中嶋監督は観察力、発想、ひらめきがすごい。「そこで、こうくるか」とグラウンドにいる僕らも驚く。勝ちパターンかと思うところで、宇田川や(山崎)颯一郎を起用してきた。データや相性を熟考した上で、自信を持って送り出す。選手は意気に感じるし、たとえ失敗しても、絶対に責めることはない。その悔しさをバネにさせる。選手にとって、やりやすい環境だと思う。僕は、いろんな人と野球をしたいし、いろんな野球観でやりたいと思っている。これまで指導してくれた方々も含め、中嶋監督と野球をするのも、面白い。

 来季中にも国内FA権を取得する。一昨年から、球団とは代理人を通じてさまざまな可能性について話してきた。運もあるし、巡り合わせもある。言えることは、常に高いレベルでプレーをしていたい、ということだけ。やらずに口ばかり言うのは、僕は好きではない。やってみて分かることがある。例えばメジャー挑戦した人で、結果を残せなかったとしても、世間は失敗と捉えるかもしれないが、挑戦した人を僕はリスペクトしている。向上心やモチベーションは、ものすごく大事。いろんな先輩と会う中で、そう感じてきたし、後悔したくないとは思う。

 まずはCS、そして、日本シリーズ。ヤクルトはやっぱり強いし、村上君は圧倒的な数字でチームを引っ張っている。普段は、かわいらしいし人間味があって、熱いプレーヤーだから、チームにいると頼もしいと思う。自分も一番を目指しているし、チームとしてもチャンスはある。去年かなわなかった日本一へ、ベストパフォーマンスを発揮したい。(オリックス・バファローズ外野手)

 ◇吉田 正尚(よしだ・まさたか)1993年(平5)7月15日生まれ、福井県出身の29歳。敦賀気比で1年夏、2年春と甲子園出場。青学大を経て、15年ドラフト1位でオリックス入団。20、21年と2年連続首位打者。21年東京五輪に日本代表として出場し金メダルを獲得した。1メートル73、85キロ。右投げ左打ち。

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