広島・佐々岡監督が退任 3年連続V逸のけじめつけ3日にも正式発表 後任はOB軸に人選

[ 2022年10月2日 06:00 ]

今季限りで退任する佐々岡監督(撮影・久冨木修)
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 広島の佐々岡真司監督(55)が今季限りで退任することが1日、分かった。ヤクルトのリーグ2連覇が決まった翌9月26日、就任から3年連続で優勝を逃した責任を取って辞任する意向を球団に伝えた。終盤まで激しく3位を争ったものの、前日30日のヤクルト戦に敗れ、4年連続のBクラスとなる5位が確定。2日に今季の全日程を終え、3日にも正式発表される。

 就任3年目。佐々岡監督は激しい3位争いを指揮する中でひそかに進退を決していた。新春に「結果を出さないと、次はないと思っている」と語った通り、ヤクルトのリーグ2連覇が決まった翌26日、3年連続V逸の責任を取って職を辞する意向を球団幹部に伝えた。佐々岡監督なりのケジメだった。

 球団創生期に通算197勝を挙げた故長谷川良平氏以来、広島で53年ぶりに誕生した投手出身の指揮官。就任時には「コミュニケーションを取りながら、一体感のあるチームづくりを心がけたい」と抱負を語ったが、新型コロナウイルス禍にあって、過渡期のチームを再建するのは容易ではなかった。

 とりわけ腐心したのが、勝利の方程式を担う投手陣だ。16~18年のリーグ3連覇を支えた布陣が軒並み下降線を描き、新たな人材発掘を求められた中でのスタート。喫緊の課題と位置づけ「全体を充実させつつ終盤、中でも勝ちパターンの投手を強化したい」と表明したものの、一定期間なら託せるセットアッパーはいても、固定はいまだできていない。

 近年の数字が雄弁に物語る。3連覇した16~18年は逆転勝ちがリーグトップの45→41→41試合を数え、逆転負けは3季連続で26試合にとどまったが、Bクラスに転落した19年からその数字は逆転。今季も34試合の逆転負けがあり、11年以来のリーグ最多が確定する。

 一方で、20年ドラフト1位で獲得した栗林を抑えに起用したことは、佐々岡監督の慧眼(けいがん)といえる。21年・東京五輪の金メダル獲得にも貢献した守護神は、37セーブを挙げて新人王に輝いた1年目に続き、今季も31セーブをマーク。ただ、球界屈指の安定感を誇る抑え投手の存在は、逆にセットアッパーの不在を皮肉にも際立たせた。

 「一年一年が勝負」と心に刻み、チームづくりに心血を注いできた3年間。Bクラスが続き、掲げた一体感は無念にも結果に結び付かなかった。球団は意向を尊重し、申し出を了承する方針。2日にシーズンの全日程を終え、3日にも正式に発表される。後任はOBを軸に人選が進められる。 (江尾 卓也)

 ◇佐々岡 真司(ささおか・しんじ)1967年(昭42)8月26日生まれ、島根県出身の55歳。浜田商からNTT中国を経て、89年ドラフト1位で広島入団。2年目の91年に17勝、防御率2.44で最多勝と最優秀防御率の2冠。リーグ優勝に貢献してMVPと沢村賞を受賞した。99年5月8日の中日戦でノーヒットノーラン。06年には史上2人目の先発100勝&100セーブ達成。07年の現役引退まで通算570試合138勝153敗106セーブ、防御率3.58。引退後は野球解説者を務め15年から広島コーチ。20年から監督。右投げ右打ち。

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