新井貴浩氏 劣勢で出てくる救援陣のレベルが高い阪神、投手中心の守り勝つ野球で上位狙える

[ 2022年7月13日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神0-4巨人 ( 2022年7月12日    甲子園 )

<神・巨>6回から登板する岩貞(撮影・成瀬 徹)
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 【新井貴浩 視点】戸郷は直球とフォークが主体で阪神の各打者も準備していたと思う。邪魔になったのはカーブとスライダー。特に左打者に対して外角からストライクゾーンに入れるバックドアの精度が高かった。初回の3点で余裕も持たせてしまった。もともとテンポが良く、点差があったことで、どんどんストライクゾーンで勝負された。

 序盤に1点でも返していれば重圧も違っただろう。4回無死一、二塁ではロハスが右よりのシフトにかかって併殺打に打ち取られた。彼は低い球が得意。引っ張り狙いで打ちに出た直球が高く来た分、二遊間へのゴロになった。もう少し低ければ、右中間へ飛んでいた可能性がある。勝負のあやだ。結果的に完封されても、8安打して好機はつくった。手も足も出なかったわけではなく、切り替えやすいと思う。

 それにしても阪神の救援陣は見事だった。岩貞、浜地、石井。どの投手も0―4の劣勢で出てくるレベルではない。いまの阪神はリードしている時と、されている時の中継ぎ投手の力量差がセ・リーグで最も小さい。大きな武器だと思う。この強みを生かすためにも、先制点を取ることに最大限フォーカスしてほしい。9連戦は始まったばかり。どのチームも投手陣の運用に苦心する中、阪神は先発も救援も駒がそろっている。先手を取って主導権さえ握れば、いい戦いができるはずだ。

 少し懸念するのは、マルテの昇格で大山のポジションが変わる可能性があること。3回に丸の難しいゴロで併殺を取ったように大山は一塁守備での貢献が大きく、打席へ入るリズムも一塁の方が合っているように感じる。8回の中飛も紙一重の打球だった。投手を中心とした守り勝つ野球で十分に上位を狙えると思う。 (スポニチ本紙評論家)

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2022年7月13日のニュース