中日・平田 最高の“相棒”とともに歩む復活ロード

[ 2021年12月23日 09:00 ]

中日・平田良介
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 中日の外国人選手を除く契約交渉は21日のセ・リーグ2冠右腕・柳の1億円更改で終了。チームが5位に低迷して成績を落とした選手も多く、一人の保留もなく全選手が一発サインだった。その中で強く印象に残ったのがベテランの平田良介外野手(33)だ。

 17年に結んだ5年契約の最終年だった今季は1軍で21試合に出場して打率・155。打撃不振で4月28日に1軍選手登録を外れ、以降は2軍調整が続き、年俸1億8000万円から減額制限を大幅に超える約83%ダウンの年俸3000万円での更改となった。(金額は推定)

 10月5日には自身のSNSで7月4日に胸が締め付けられる感覚と動悸(どうき)が激しくなる症状を訴えて救急車で緊急搬送されたことや「異型狭心症」と診断されたことなどを明かしていた。病気を告白してから初めての記者会見。平田の表情は穏やかで、柔らかい語り口だったが、その内容は重たいものだった。

 「7月4日に激しい動悸があり、呼吸しづらくなって病院に緊急搬送された。8月、車の運転中に顔と頭と左手首から先がしびれるようになり、ジェットコースターの落ち始めのようなフワッとした感覚になり運転できなくなった…」

 当時の病状を生々しく語り、現在は投薬を続けながら練習していること、ニトロを持ち歩いていること、打撃に関しては問題ないことなどを淡々と明かした。その中で最も力を込めて話したのが復活への強い思いだった。

 「来年はすべてをぶつけるつもり、だめなときは引き際だと思う」

 そこまでの覚悟を口にできたのは帰ってきた“相棒”の存在があるからだった。プロ入り後、しなりの大きいアオダモのバットを使っていたが、近年は入手困難になり、18年シーズン途中から硬くて弾きのよいメープルやアッシュなどへの変更を余儀なくされた。バットが代わって「イメージしたところにバットが出てこなくなった」と成績は下降の一途をたどっていたが、来季はメーカーに頼み込み、数十本のアオダモを確保したという。

 「これまでは悪いスイングをしないとバットが出てこなかった。おもりをつけて試合に出ている感覚だった。でも、バットが戻って今はイメージしたところにバットが出るようになった」

 12月のナゴヤ球場。外野を黙々と走り、室内で打ち込む平田の姿があった。今オフ、中日は目立った補強をしていないが、背番号6が往年の力を取り戻せば、最高の補強となるに違いない。

 ドラフトで3人の即戦力外野手を指名し、秋季キャンプでは阿部や根尾、高松も外野に挑戦。決して平坦ではないが、最高の相棒とともに歩む平田良介の復活ロードに注目したい。(記者コラム・中澤 智晴)

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2021年12月23日のニュース