【森繁和氏の目】佐々木朗希は内外角のコースはいらない 大エースへの予感漂う圧巻の10奪三振

[ 2021年11月6日 20:42 ]

<CS1ロ・楽(1)>佐々木朗は2回2死二塁、辰己を三振に打ち取る (撮影・白鳥 佳樹)
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 ロッテ・佐々木朗が絶対的な自信とともに投げ込んだフォークボール。試合の流れを絶対に手放さないとの強い意思がこめられた、見事な2つの三振だった。

 2回、自身の失策から先制点を献上した。さらに2死二塁。気持ちの切り替えが難しい場面で、辰己をフォークで見逃し三振に斬った。高めのボールゾーンから外角に滑らせる142キロ。佐々木朗は(1)左打者の外角に逃げる(2)縦に鋭く落ちる、の2種類のフォークをカウントに応じるなどして投げ分けていた。

 もう1つ、ポイントになった三振は4回無死。直前の攻撃で逆転してもらい、是が非でも無失点でしのぎたいイニングで先頭・茂木を再びフォークで空振り三振に。今度は縦の変化の138キロ。この回をリズム良く3者凡退で抑え、6回1失点と役目を果たした。2桁10三振は見事。特にこの2三振が光った。

 スライダーはわずか5球。この日はほぼ直球とフォークだけで楽天打線を封じた。1メートル90の長身で腕を縦に強く振る。ボールに角度があり、かつ同じ角度でくるだけに打者は直球とフォークの見分けがつかない。極端に言えば内外角のコースはいらないぐらいだ。打者の目線を上下に動かすだけで抑えてしまう。もちろん150キロ後半の直球があればこそフォークが生きるのだが、佐々木朗にしかできない芸当だろう。

 結果的にチームも勝利し、20歳の右腕にとっては非常に大きな経験になったはず。ファイナルS、日本シリーズで登板の可能性もある。この経験を経て、来季は大エースの称号を手にするのでは――。そう思わせるほどの圧巻の投球だった。
 

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2021年11月6日のニュース