野村謙二郎氏 床田は見違えるように真っすぐが走っていた 腕を振ることの重要性が認識できたのではないか

[ 2021年9月22日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2ー0巨人 ( 2021年9月21日    マツダ )

<広・巨>力投する先発の床田(撮影・奥 調)
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 【野村謙二郎 視点】坂本の反応が象徴的だった。試合の序盤。床田の直球に遅れてファウルになった際、アレッという心のつぶやきを感じた。腕の振りとスピードが今までとは違ったのだと思う。確かに、この日の床田は見違えるように腕が振れ、真っすぐが走っていた。それがプロ初完封を成し遂げた最大の要因だと思う。

 会沢のリードも特筆ものだ。打者が直球に合わせて早い仕掛けをしている中、それまで使っていなかったチェンジアップ、パームボールなどの緩い変化球を終盤になって織り交ぜ始めた。結果、ことごとくバットの芯を外した。インパクトの強いスピードボールが生きていた証だった。

 打者と勝負する上で腕を振ることがいかに有効か。腕を振った強い直球があれば、打者はボール球でも振る。怖さを知り、結果を求めるあまり大事なものを忘れ、思い出す…を繰り返すのが人間。その中で、投球のコツを覚えた者が勝ち組に入れる。床田は、腕を振ることの重要性が認識できたのではないか。左肘手術や2軍再調整などの曲折を乗り越えての今だけに――。(スポニチ本紙評論家)

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