潜在能力見極める楽天・石井「GM兼任監督」の慧眼 10・11ドラフト会議での目利きに注目

[ 2021年9月17日 09:00 ]

楽天・石井一久監督(右)と昨年のドラフト1位・早川隆久
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 仙台駅東口から真っ直ぐ伸びる一本道を歩いて楽天生命パークへと向かっていると、街路樹のキンモクセイの柔らかな香りで秋の深まりを実感する。球場に着くと、グラウンドには赤トンボが。1カ月前までは猛暑が身にこたえたが、気付けばナイター後には上着を羽織って帰路に就く季節になった。

 時節柄、「優勝マジック」「個人タイトル争い」「ポストシーズン」などさまざまな野球の“秋の季語”が新聞紙面上を賑わしているが「ドラフト会議」を思い浮かべる野球ファンも少なくないはずだ。今年の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」はシーズン中の10月11日に開催される。

 記者が担当する楽天は昨年、ドラフト1位で早大・早川を指名した。4球団競合の末、石井一久GMが現役時代に日米通算182勝を積み上げた「黄金の左手」で見事に交渉権を獲得。1年目から8勝を挙げる活躍をみせ、しっかりと即戦力の期待に応えている。

 石井監督がGMに就任して以降のドラフトを振り返ると、1位で獲得した選手は18年・辰己(立命大)、19年・小深田(大阪ガス)、20年・早川(早大)。いずれも1年目から1軍に定着しており、潜在能力を見極める「慧眼」には感服させられる。9月17日時点の1軍メンバーで、直近3年のドラフトで指名された選手は以下の9人だ。

 ▼投手=早川(20年1位)、藤井(20年3位)、津留崎(19年3位)、滝中(19年6位)鈴木翔(18年8位)
 ▼捕手=太田(18年2位)
 ▼内野手=小深田(19年1位)、渡辺佳(18年6位)
 ▼外野手=辰己(18年1位)

 19年に指名された高卒野手の黒川(2位)と武藤(4位)はそろって今季の開幕1軍メンバーに抜擢され、現在は未来の主力選手になるべく2軍で実戦経験を積んでいる。

 今年も全国各地で敏腕スカウトが発掘してきた個性豊かな「金の卵」が数多くリストアップされている。現状の主な補強ポイントを挙げるならば、内外野を問わず右打ちの長距離打者や将来的にエースの座を狙える本格右腕といったところか。

 9月16日には仙台市内の球団事務所にスカウト陣が集結し、球団首脳を交えて活発な議論が交わされた。「今は(候補選手を)精査している。いろいろな選手がドラフト前にも出てきたりするので、幅広く見たい」と話す石井GMは今季から監督を兼務しており、現場のトップとして感じたものが指名に少なからず反映されるだろう。運命のドラフト会議まであと24日。球界でも異例の「GM兼任監督」の目利きに注目だ。(記者コラム・重光 晋太郎)   

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