赤星憲広氏 狙い球のスライダーを待ち続けて打った阪神・中野 ルーキーらしからぬ勝負カンは見事

[ 2021年9月4日 08:10 ]

セ・リーグ   阪神7-3巨人 ( 2021年9月3日    甲子園 )

<神・巨>7回2死満塁、中野は勝ち越しの3点適時三塁打を放つ(撮影・平嶋 理子)    
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 【赤星憲広 視点】“何で振らないんだ?”って突っ込んだ人も多かったと思う。7回に同点に追いつき、なお2死満塁で中野の打席。初球スライダーがボールに外れた後、2球目と3球目の真ん中付近の直球をいずれも見逃した時だ。ガチガチで手が出なかったわけではなく、押し出し四球を狙っていたわけでもない。スライダーをヒットにして走者を還そうと球種を絞っていたのだ。

 読みとしては外れて、すぐに追い込まれてしまったが、それでも狙いを変えなかった。2―2からの5球目真っすぐをファウルで逃げたのが伏線となり、最後はフルカウントからスライダーを右翼フェンス直撃の3点三塁打。見逃せば高めボールで押し出しだったが、待ち続けていたから反応できた。左打者が2つの球種を追っていては変則左腕の大江を攻略するのは難しい。ルーキーらしからぬ勝負カンだ。

 1番・中野から島田、近本と足の速い左打者を3人並べたが、対戸郷にはこれくらい思い切った起用も必要。好調の近本、マルテにいかに好機で回すか、相手投手をみながら打線組み替えをしていくしかない。(スポーツニッポン評論家)

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2021年9月4日のニュース