智弁和歌山13年ぶりの8強 イチローコーチの教え実践 「ちゃんとやって」勝ちました!!

[ 2021年8月25日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権3回戦   智弁和歌山5ー3高松商 ( 2021年8月24日    甲子園 )

<高松商・智弁和歌山> 9回途中まで投げ勝利に貢献した智弁和歌山・中西 (撮影・亀井 直樹)
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 2回戦の宮崎商戦が不戦勝となり、当初の開幕日から16日目でようやく登場した智弁和歌山が3回戦の高松商戦に勝ち、2008年以来13年ぶりの8強進出を果たした。日米通算4367安打したイチロー氏(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)に昨年12月に3日間の指導受けたチームは、4番の徳丸天晴外野手(3年)が適時二塁打を放つなど11安打5得点。指導日最後の「ちゃんとやってよ」のメッセージに勝利で応えた。

 気がつけば8月24日。大会史上最も遅い第11日の登場も、春夏合わせ3度の甲子園大会優勝を誇る智弁和歌山には関係なかった。3回に先制し中押し、ダメ押しの理想的な展開。イチロー氏にいわれた「ちゃんとやって」を攻守で実践。試合後、中谷仁監督は同氏から受けていた「激励」の存在を明かした。

 「いつも見てもらっているので“この大会もちゃんと見ているよ”というメッセージをもらっています」

 当初は第6日第1試合で宮崎商と対戦する予定だったが、7度の順延と宮崎商の出場辞退で試合日が延びに延びた。同氏の教えの一つだった走塁で勝利を決定付ける得点を奪った7月27日の和歌山大会決勝・市和歌山戦以来28日ぶりの対外試合。実戦勘が心配されたが2巡目で対応した。

 3回、先頭の安打から犠打、安打で1死一、三塁とし3番の角井翔一朗が先制の右前打。1年春から4番を打つ徳丸は、外角高め直球を右翼線に運んで適時二塁打とした。

 「シート打撃など実戦の練習を多くしてきた。試合勘は問題なくできました」

 同校グラウンドでの3日間の指導中に、同じ右翼手だったこともありイチロー氏とキャッチボールも行った。半年後、最後の夏を前に「“失敗をたくさんして今がある”と話されていたのが印象的」と話していた。1年だった19年夏の3回戦では星稜・奥川恭伸(現ヤクルト)の外角球に手も足も出ず5打数無安打3三振。あれから2年、甲子園で外角球を仕留めた。失敗したからこそ、今がある。

 高嶋仁名誉監督の孫・奨哉は、祖父と父の1安打を超える2安打。「高嶋です」とあいさつに行くと「知っとるわ」と返されたことを明かすなどナインの心には有形無形でイチロー氏との時間が息づいている。

 「頼もしかった。もう一つ試合ができることをうれしく思う」と指揮官。ちゃんとやれば2000年以来の頂点が見える。

 ▼高松商・長尾健司監督 イチローさんに教えていただいて、強くなったんだろうな、やる気が出たんだろうなと思う。ウチにもイチローさんが来てほしい。

 ▽イチロー氏と智弁和歌山 18年11月に、ほっと神戸で行われた近畿大会の智弁和歌山―明石商戦を観戦し、ブラスバンドなどの応援に感銘を受けたことがきっかけ。引退後の19年オフに「KOBE CHIBEN」という草野球チームを結成し、初戦で同校の教職員を中心とした「和歌山智弁」と対戦した。これらの縁があり20年12月2日から3日間、同校野球部を指導。1日目は観察、2日目から実際に指導に入り、3日目にはフリー打撃も実演。「僕が伝えられることはこの3日間で伝えたので。期待しています」とエールを送った。

 〇…エース右腕の中西聖輝は9回2死から2点を失い伊藤大稀の救援を仰いだが、8回まで最速145キロ直球と変化球を低めに集めて1点に抑えた。「最後は甘い球を打たれた。反省している」。対外試合は7月27日の和歌山大会決勝以来だったが「ブルペンで打者に立ってもらったり、監督に見てもらったりして調整した」と不安はなかった。投球数は145。29日の決勝まで6日間で4試合の日程で「1週間500球」の球数制限とも“戦う”ことになりそうだ。

 

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