阪神・大山「下を向いてやってちゃいけない」656日ぶり7番降格に発奮 3回に17戦ぶりの決勝9号

[ 2021年7月7日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神5ー1ヤクルト ( 2021年7月6日    神宮 )

<ヤ・神>3回、先制本塁打を放ち、メダルを胸にポーズを決める大山(撮影・北條 貴史)
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 まさに「ヤク払い」だ。阪神は6日のヤクルト戦に5―1で快勝した。656日ぶりに7番で起用された大山悠輔内野手(26)が、3回に決勝の左越え9号ソロ。今季最長ブランクの17試合、70打席ぶりの一撃に加え、8回にはダメ押しの左前適時打も放って2安打2打点と躍動した。奮起した主将が打線をけん引し、9連戦初戦を勝利に導いた。

 虎の金メダルとともに主将・大山の笑顔がはじけた。蓄積していた悔しさ、もどかしさを振り払い、晴れやかな表情を見せた。

 「一発で仕留められて、チームにいい流れを持ってこられてよかった」

 0―0の3回だ。田口の投じた高め直球を思いきり引っ張った。鋭い当たりは左翼ポール際へ。6月12日楽天戦以来、17試合ぶりの9号ソロ。ダイヤモンドを一周した大山は、本塁打を放った打者に贈呈される特製メダルを発案者・坂本から首にかけられた。どんなメダルよりも輝かしい“勲章”を手にした。

 6月24日以来、好機で打点を挙げることができず、同29日ヤクルト戦で4番から6番に降格。そしてこの日は19年9月19日ヤクルト戦以来656日ぶりとなる7番での起用となった。それでも「下を向いてやってちゃいけない。前を向いて何ができるのか考えて」と目の前の1打席、1球に集中していた。

 浮上のきっかけを見いだせない中でも、地道な取り組みを続けてきた。不本意な打撃で凡退した打席の後もベンチに戻れば、必ずスコアラーの隣に座り、“復習”を欠かさなかった。その積み重ねを結果につなげるべく、分析を怠らなかった。まさしく、継続は力なり――。それが実った。前回6月29日の田口との対戦で仕留めることができなかった初球を、今回は完璧にスタンドに運んでみせた。

 しかも一発だけでは終わらなかった。4―0の8回2死一、二塁では、坂本の直球を左前適時打。得点圏打率はリーグ規定打席到達者でワースト2位の・203だが、その改善の一歩も踏み出した。

 「個人的にも、なかなか得点圏で打てていないということがわかっていたので、結果を出せて、勝利につなげられてうれしい。続けていかないと意味がないので、また、しっかり準備してやりたい」

 そう振り返った主将に対し、矢野監督も「ホームランだけじゃなくて、タイムリーが出たっていうのも大きい。悠輔(大山)が乗ってきてくれないことにはチーム全体としても、つながりは出てこない」とうなずいた。この夜の躍動は、一進一退が続くチームにとって光明だ。前半戦は残り8試合。主将の名にふさわしい活躍で、チームを引っ張る。(長谷川 凡記)

 ▼阪神・井上ヘッドコーチ (大山について)7番は奮起を促す意味でね。勝つためにはあいつの仕事が必要不可欠。きょうは気分は良かったと思う。やいやいと外せとか言われていることを払しょくして、実際4番というような存在なんだし、きょうの仕事をきっかけにしてほしいね。

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