【内田雅也の追球】待望の「WHHHS」

[ 2026年5月20日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神4―2中日 ( 2026年5月19日    倉敷 )

8回を投げ終えたドリス(右)を出迎える西勇
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 セーブ(S)はクローザーに、ホールド(H)は中継ぎ投手に与えられる記録、いわば勲章である。諸条件はあるが、ホールドは3点差以内の小差のリードや同点を保てば与えられる。

 この夜、阪神は3人の救援投手にホールドがついた。今季、阪神で3Hが記録されるのは4度目だった。ちなみに優勝した昨季は143試合で3H以上(4H3度、5H1度を含む)の試合が実に26度もあった。鉄壁を誇った救援陣の証しと言えるだろう。逆にみれば、今季、救援陣がいかに不調で、苦しんできたかが浮き彫りとなる。

 加えて、先発投手に勝利(W)がつき、中継ぎの3Hでリードを保ち、クローザーのSで逃げ切った試合は今季2度目だった。前回は4月2日のDeNA戦(京セラ)で、伊原陵人―ラファエル・ドリス―ダウリ・モレッタ―及川雅貴―岩崎優のリレーだった。

 この夜は西勇輝が苦しみながらも5回2失点と相手に同点を許さず、6回を工藤泰成、7回を及川雅貴、8回をラファエル・ドリス、そして9回を岩崎優が締めた。救援4投手は無安打無失点だった。岩崎は1カ月ぶりのセーブで、登板5投手全員に「WHHHS」と勲章がついた。

 ある意味、待ち望んでいた継投による勝利である。監督・藤川球児は「リリーフ陣全体でいいリレーをしてくれました」と話した。たすきをつないでゴールを目指す。継投は思いが重なるリレーである。完投や完封は素晴らしいが、分業制がさらに進む今の時代では継投こそ、安定した勝利につながる。「ブルペンはチームの心臓」と言う藤川は春先から「チームをつくっている最中」と必勝継投を模索していた。

 もちろん、この夜登板した投手が必勝継投の役者と決まったわけではない。欲を言えば、先発は6回で勝利投手となり、7回以降を救援陣が締める「WHHS」が理想かもしれない。若き藤川が2005年に脚光を浴びたJFKのパターンだ。

 ただ、西勇は4回表、1点差に迫られた後、2度目の無死満塁を無失点でしのぎ、一打同点の5回表2死一、二塁は3球連続見逃しストライクの三振で踏ん張った。5回で十分役割は果たした。

 ドラフト1位の新人・立石正広デビュー、年に1度の倉敷、打ち上がった花火、浮かんだ三日月とともに記憶に刻む継投勝利だった。 =敬称略=
 (編集委員)

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