開幕投手の阪神・藤浪 9回締めた 緊急昇格即救援で復活零封 虎党の歓声に「勇気づけられた」

[ 2021年6月5日 05:30 ]

交流戦   阪神6ー1ソフトバンク ( 2021年6月4日    甲子園 )

<神・ソ(1)> 9回に登板した藤浪(撮影・大森 寛明)
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 コールを聞くまでもない。リリーフカーから紫のグラブを手にした背番号19が降り立つとスタンドはこの夜、一番の盛り上がりを見せた。5点リードの9回、昇格即登板した藤浪が試合を締めた。

 「セーブ、ホールド(の状況)じゃなかったですし、歓声を聞く余裕がありました。勇気づけられました」

 ファンに背中を押され、腕の振りは強さを増した。先頭の代打長谷川に初球を右前打されたが、三森を外角高めの154キロ直球で空振り三振。今宮も遊ゴロ、最後は前の打席で本塁打した栗原を156キロ直球で中飛に仕留めた。昨年10月21日以来の救援登板で役割を果たした。

 緊急昇格だった。岩崎の登録抹消に伴い遠征先の名古屋から急きょ帰阪し試合前にブルペンに合流。当初は、きょう5日の2軍戦で先発予定だったが「チーム事情がチーム事情なんで、理解してというか。(1軍に)呼ばれたからにはという感じ」と覚悟を決めた。

 今季は初の開幕投手を務めながら、安定感を欠き4月24日に出場選手登録を外れた。フォームを模索し、2軍戦でも先発4試合を含む5試合で0勝1敗、防御率4・29とアピールできない中、有事で声がかかった。矢野監督はリリーフ起用の継続を明言した上で「晋太郎自身もチームにとっても、しっかりした1イニングを投げてくれた。いいボールもいっていた」と期待した。

 「先発をやりたい気持ちは持ちつつですけど現状与えられた仕事なので、しっかり結果を出したい」。第1球を投じるまでに周囲がつくり出す熱量と、マウンドで示したパフォーマンスは唯一無二だ。奪った3つのアウトが再出発を告げた。(遠藤 礼)

 〇…今季開幕投手の藤浪(神)が救援で登板。阪神の開幕投手が同一シーズンで救援登板するのは13年のメッセンジャー以来8年ぶり。7月17日、巨人戦7回に2番手で登板。前半戦最終戦で救援陣を休ませる目的で、シーズン30試合中救援はこの1試合のみ。本格的な配置転換となれば、10年の安藤以来となる。開幕戦勝利のあと、不調が続き、2軍降格を挟んで3連敗。7月16日のヤクルト戦から転向。シーズン19試合中10試合でリリーフを務め勝敗なし。12回2/3を6失点の防御率4・26だった。

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