ブリーデンさんを悼む 田淵幸一氏「彼のおかげで相手投手が私と勝負してくれるようになった」

[ 2021年5月12日 05:30 ]

1977年4月14日、大洋戦でサヨナラ本塁打を放ったブリーデン(右)を迎える田淵幸一
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 阪神での現役10年間で、最も印象に残っている男だった。「よき友」と言っていい。私より2歳年上。一緒にプレーしたのは3年間だけだったが、彼との思い出は尽きない。

 映画俳優のような端正なマスクで、話すことが大好き。来日1年目からすぐチームに溶け込んだ。私とは家族ぐるみの付き合い。西宮市の自宅に家族を招いて日本食を振る舞うと「今度は俺のとこへ来い」と言われ、神戸市内のマンションにお邪魔した。ホームパーティーのような形で出てきたのはビールとポテトチップス。でも、豪華な食事よりも話すことが彼ならではの、もてなしだった。焼き肉や寿司にも連れて行った時も、ずっと話していたのを思い出す。

 「赤鬼」と呼ばれたけど、打撃は自然体だった。癖のないフォームでウイークポイントがほとんどなく、右方向へも打つ。当時4番だった私の後ろを打つ強力な外国人選手という狙いで獲った彼が1年目から40本塁打。おかげで相手投手が私と勝負してくれるようになった。まだ76歳。寂しいし、残念でならない。ご冥福をお祈りします。(スポニチ本紙評論家)

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2021年5月12日のニュース