斎藤隆氏がエンゼルス・大谷復帰登板を分析 先発成功の鍵は「空振りを取らない変化球」

[ 2021年4月22日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス6ー2レンジャーズ ( 2021年4月20日    アナハイム )

先発し7四死球ながら4回を7奪三振無失点に抑えた大谷
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 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が20日(日本時間21日)、レンジャーズ戦に先発し、4回1安打無失点で勝敗はつかなかった。右手中指マメの悪化の影響で16日ぶりの復帰登板となったが、7奪三振7四死球と安定性を欠き、3年ぶりとなる勝利は持ち越しとなった。ドジャースなど、メジャーで7年間プレーした斎藤隆氏(51)が投球を分析し、今後の課題を語った。

 大谷は制球のばらつきが激しかった。マメの影響なのか、二刀流調整の難しさから来るバランスの乱れなのか、それは本人しか分からない。ただ、直球を投げる時に手首が立たず、寝ているのが気になった。中指にできたマメの位置をずらし、人さし指に力を入れて投げようとしていたのではないか。そのためシュート気味に抜ける球が多かった。

 投手・大谷の課題は明白だ。スプリットは通算被打率・041(73打数3安打)のデータが示す通り、絶対的な決め球であることを証明している。しかし、そのスプリットを使える状況にカウントを整えることができない。この日は直球が不安定なためカーブを増やしたが、スプリット、スライダーとともに、大谷の持ち球は全て変化幅が大きい。どの球種も空振りが取れ、ハマった時は快投もある。一方で、ストライクが入らないと球数が一気にかさむ。1イニング20球前後を要する投球では5回も投げきれない。

 今の大谷はクローザーのような投球。先発投手として成功するには変化幅が小さい「空振りを取らない変化球」が必要だ。ゴロアウトが理想だが、打たれたとしても長打ではなく単打。空振りかボールではなく、1、2球で「決着のつく球」が欲しい。シーズン中に新しい球種を習得するのは難しい。ならば今ある球種で調整するしかない。

 例えば、スライダーは曲がり幅を抑えてカット気味にする。カーブも山がない縦落ちで全部空振りになってしまうので、もっと球速を遅くしてバットに当てさせる。直球も本来は高めを有効に使いたいが、そこまでハードルを上げずに外角のラインにフォーカスしてファウルを打たせる。大谷の球速があればそれは十分できる。

 将来的には、スライダーとは逆の軌道のシンカーやチェンジアップがあれば投球は楽になる。ポテンシャルは間違いない。あと一つ、投球の幅が増えれば、投手としての10勝、イコール二刀流の完成形が見えてくる。(MLB解説者)

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