甲斐野 リハビリ組の苦闘明かす「メンタルきつかった」

[ 2021年4月17日 09:00 ]

術後初のシート打撃に登板した甲斐野
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 復活への第一歩を踏み出した。昨年12月に右肘を手術した甲斐野央投手(24)が9日、筑後のファーム施設でシート打撃に初登板。打者6人にスライダー、フォークなどを交え27球。最速152キロを計測し、安打性はわずか1本だった。「不安はあったけど投げ切れた。今の状態で投げられる少し力を抜いた感じで投げたら152キロ出た。アドレナリンも出たし、打者が立つとやっぱり違う。この感覚は懐かしい」と昨年7月以来となる実戦マウンドを踏みしめた。

 1月、リハビリ組で汗を流す甲斐野の表情は曇っていた。ライバルの投手たちは自主トレで課題に取り組み、新球の習得など技術を磨いていく。しかし、投げたくても投げられない。ただ黙々と走り込み、筋力トレーニングの日々が続いた。

 また1軍の舞台に戻れるのか。ケガをする前のようにスピードが戻るのか。毎日が不安との戦いで、心が折れかけていた。「今までほとんど折れたことはなかったので…。さすがにメンタルがきつかった」と本音が漏れた。そんな苦しい時期を過ごしている甲斐野に今年から担当になった記者は名刺を渡した。「福岡はおいしい食べ物が多いので、太りますよ。僕も太りましたから」と笑顔で気さくに話しかけてくれたことを鮮明に覚えている。チームメイトだけでなく、取材陣にも明るく振る舞う「愛されキャラ」だ。

 そんな24歳だからこそ、首脳陣、チームメート、トレーナーからも励まされた。「いろんな人に声をかけてもらった。言っていることは違うけど、内容は“長い目で見てゆっくり治していこう”という意味だった。本当に僕のことを思ってくれるいい人ばっかりで、そこに向かっていけるようになった」。周囲のサポートにより、スタートラインまでたどり着いた。

 19年は新人ながらセットアッパーに定着。チーム最多の65試合に登板し、防御率4・14。大車輪の活躍を見せ、3年連続日本一、侍ジャパン入りも経験した剛腕。今後は状態を確認しながら4月中の実戦復帰を目指す。

 「一歩、階段上がれてよかった。やっぱり1軍の雰囲気で投げたい」。長いトンネルの先に、晴れ舞台が甲斐野を待っている。(記者コラム・福井 亮太) 

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