ヤクルトの開幕戦から感じた 「9回打ち切り」ワンプレーの重さ

[ 2021年3月31日 09:30 ]

ランニングするヤクルト・小川
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 本拠地で迎えた阪神との開幕3連戦で屈辱の3連敗。ヤクルトの2021年は、困難なスタートとなった。

 感染拡大が続くコロナ禍に配慮し、試合時間の短縮を目的に、今季は12回までだった延長戦がなくなり「9回打ち切り」に変わった。この特別ルール下では、3月26日の開幕戦で犯したヤクルトの「バントミス」が非常に痛手となっている。

 投手の小川が4回1死一、三塁からバント失敗。8回無死一塁では、代打・古賀がスリーバントを決めきれなかった。試合後、高津監督は「こんなことをしていたら勝てない。すごく大きな2つのアウトだった」と険しい表情で指摘していた。

 29日付の本紙で巨人担当キャップの神田記者が記していたように「9回打ち切り」という新たなルール下では、今まで以上に1点の重みが増してくる。ヤクルトが開幕戦で失敗した2つのバントは、ともに1点を追う展開だった。昨年まで2年連続でチーム打率がリーグワーストのチームにとっては、他チーム以上に1点の重みがのしかかってくる。

 開幕戦でつまずき、為す術なく3連敗を喫した。相手の阪神はルーキー・佐藤輝の加入でキャンプから話題をさらい、オープン戦でも16年以来の勝率1位を飾っていた。対するヤクルトはオープン戦3勝9敗1分けで最下位。分が悪いことを踏まえても、確実に走者を得点圏に進め、好機を迎えたかった。

 開幕戦の翌日。小川と古賀は、全体練習前の神宮球場に姿を見せた。早出でバントを反復練習。高津監督の「1点にこだわる野球」を体現するためにも、基本のプレーを詰めていくしかない。今季のプロ野球では延長戦による劇的勝利は生まれない。その半面、これまで以上にワンプレーの大切さが際立ってくる。見る側には、今シーズンの野球の楽しみ方の一つになるだろう。(記者コラム・川手 達矢)

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2021年3月31日のニュース