Honda 11年ぶり3度目V 監督就任1年目で花開いた開田流 決勝3ランの井上が橋戸賞

[ 2020年12月4日 05:30 ]

第91回都市対抗野球 最終日   Honda4―1NTT東日本 ( 2020年12月3日    東京D )

今年の都市対抗野球で優勝を決めて喜びを爆発させるHondaナイン
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 Honda(狭山市)がNTT東日本(東京都)を4―1で下し、09年以来11年ぶり3度目の優勝を飾った。1―1の5回1死一、二塁から3番の井上彰吾外野手(29)が、今大会2度目の決勝打となる勝ち越しの右越え3ランを放ち、今大会10打点の活躍で橋戸賞(最優秀選手)を獲得。開田(ひらきだ)成幸監督(41)は、就任1年目で頂点に導いた。

 例年より、東京ドームは静かだった。だからこそ、甲高く響いた打球音にHondaベンチは沸いた。同点の5回、井上が右越え決勝3ラン。今大会10打点目で橋戸賞と、11年ぶりの頂点につなげた。

 「決勝は僕がやってやるという気持ちだった。(本塁打は)入ってくれて本当に良かった」。

 都市対抗優勝経験がないまま入社8年目。一時は「自分がいるから弱いんじゃないか」とまで考えた。優勝の瞬間、左翼の守備位置で泣き崩れた。前回優勝した09年の後、2回戦が最高だったチームを振り返り「2回戦の壁を破るのに11年かかった…」と漏らした。

 夢を信じる。Hondaスピリットでコロナ禍に立ち向かった。4月13日から5月31日まで全体練習休止。3グループ制で練習した。日本選手権、地方大会も続々と中止。それでも主将の福島は選手に言った。「目標は日本一。都市対抗は絶対できると信じている。チームとして戦おう」。オープン戦でもロッカールームで「日本一」と声を掛け合い、信じた夢を実現させた。

 09年の優勝以降「強打のHonda」は結果に結びつかなかった。新たな野球を目指し開田新監督、プロ経験のある原井和也、木村龍治両コーチを招へい。強打とつなぐ野球の融合を目指した。四球、進塁打、犠打が増えた「打線」は、準決勝まで2失点のNTT東日本投手陣を攻略し、5試合で29得点。開田監督は「点と点が線でつながる野球を実践できた」と振り返った。

 コロナ禍の今季、唯一、行われた全国大会の頂点に立った。3度宙に舞った開田監督は「常勝Hondaをつくり上げていきたい」と新たな夢を掲げた。(柳内 遼平)
 
 ◆井上 彰吾(いのうえ・しょうご)1990年(平2)12月31日生まれ、福岡県出身の29歳。平野中時代は筑紫エンデバーズでプレーし、筑陽学園―日大を経て入社8年目。1メートル81、81キロ。右投げ左打ち。

 ◆Honda(本田技研工業株式会社) 1948年(昭23)9月創立。創業者は本田宗一郎氏。資本金860億円、売上高5兆7751億円。輸送機器製造が主体。本社は東京都港区南青山2の1の1。八郷隆弘社長。60年野球部創部。主なOBに伊東昭光(ヤクルト編成部長)、入来祐作(オリックス2軍投手コーチ)、長野久義(広島)、木浪聖也(阪神)ら。

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