赤星憲広氏 阪神・近本は二兎を追え! 今やチームの顔、盗塁王へ「数」も「率」も期待

[ 2020年10月10日 05:30 ]

8日の広島戦、5回2死一塁で盗塁を決めた阪神・近本(左)                                            
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 阪神は9日、甲子園でのDeNA戦が雨天中止となった。スポニチ評論家の赤星憲広氏(44)は、新人から2年連続の盗塁王を狙う阪神・近本光司外野手(25)に「数」と「率」の両方を兼ね備えたスペシャルな存在となることを期待した。

 近本は8日の広島戦で23個目の盗塁を決めました。2―0の5回に2死から内野安打で出て二盗に成功し、糸井の右前打で生還。その足が最大限に生かされた追加点でした。

 セ・リーグの盗塁部門は2位の巨人・増田大の18に大きく差をつけていますが、その数よりも成功率を見てあげたい。6度の失敗で、成功率・793は立派です。昨年の・706(36盗塁―15失敗)からかなり良化しています。

 盗塁は成功すれば得点の確率は上がりますが、失敗すれば好機を潰すだけではなくチームの勢いを止めてしまう、試合の流れを相手に渡しかねないものなので、数だけを増やそうとただガムシャラにスタートを切っていいとも思いません。

 ……と、ここまでは一般論を話しましたが、今年の近本には、「数」も「率」も両方を求めて欲しいのです。昨年はこんなことを言いませんでしたが、いまは極端に言えば出塁すれば勝てるし、元気が無ければ試合にも負ける――。2年目で、もう中心選手ですし、チームの顔です。

 相手バッテリーや、カウント、配球など、より成功の可能性が高い時にスタートを切ってきて今の成績があります。でも、競った試合終盤の“ここで行ってくれ”という状況で決められる、しかも1球目、2球目までなら打者も助けることができる。そんなスペシャルな存在に上り詰めてほしいのです。

 タイトルは獲れるときには狙った方がいい。私も新人から5年連続で獲りましたが、一度切れたら6度目はありませんでした。すごい打者でもすごい投手でも、一度も縁の無い人はたくさんいます。なのでチャンスがあるなら絶対に奪い取るべきだと思います。

 タイトルという点で、大山も初の本塁打王へ巨人・岡本に1本差の2位で奮闘しています。ただ本塁打の場合は、前後を打つ打者のアシストも必要だと思うのです。5番打者が調子が悪いと、相手は大山は歩かせてもいいという攻めをしてきます。そうなるとホームランボールはきません。だからサンズの復調が条件の一つです。東京ドームを本拠地としているだけでも有利と見られる岡本は後ろの丸がいま絶好調なのでなおさらです。

 阪神からの本塁打王となれば1986年のバース以来、日本人打者では84年の掛布さん以来とのことですが、やはり2人が並んでいた相乗効果はあったでしょうし、何より5番の岡田さんのニラミが効いていたはずです。金本さんが05年に40本塁打したときも、5番に打点王の今岡さんがいたのは無関係ではありません。

 今年は岡本、大山を追っているのが巨人・丸や広島・鈴木誠、ヤクルト・村上など各球団の若き主砲たちなのが見ていて楽しい。しばらく外国人選手が続いているので、結果、誰が獲ることになっても、すごく楽しみな争いです。

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