山田 履正社破り秋季近畿大会切符!大阪公立校では26年ぶり 指揮官「夢の中というか」

[ 2020年10月4日 13:32 ]

令和2年度 秋季大阪府大会 近畿地区高校野球大会予選  3位決定戦   山田2―1履正社 ( 2020年10月4日    ウインク球場 )

<履正社・山田> 履正社を2-1で破り近畿大会出場を決め大喜びの山田ナイン (撮影・亀井 直樹)
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 山田が息詰まる接戦を制し、大阪府の公立校としては1994年の市岡以来、26年ぶりとなる秋季近畿大会の出場を決めた。金子恭平監督(41)は「夢の中というか…彼らに感謝です。現実に僕自身がついて行っていない」と言葉をかみしめるように話した。

 粘り抜いた。先発のエース・坂田凜太郎投手(2年)は初回から緩急を付けた投球を徹底。カーブ、スライダー、カットボールでカウントを稼ぎ「130キロ出るかどうか…」の直球を勝負球に使い、凡打の山を築いた。6回2死、ソロ本塁打で先制点を失ったが「点は取られると思っていた」とショックはなし。最後まで淡々と自らのスタイルを貫き、9回を6安打1失点で投げ抜いた。

 エースの粘りに扇の要が応えた。4番・横田那音捕手(1年)は0―1の9回1死二、三塁、フルカウントから直球を強振。左翼手の頭を越す逆転の2点打を放った。「お前でダメなら仕方ない」と監督から激励されて向かった打席で導き出した最高の結果。「ベンチを見たら、泣いている人もいて…僕も泣きそうになりました」。チームの6安打のうち唯一の長打を、勝敗の分岐点で出した。

 1984年に学校創立と同時に創部。これまでに甲子園大会はおろか近畿大会の出場経験もなく、野球では無名校。練習場は他部と共用で、65メートル×90メートルの校庭を3分割して使う。フリー打撃は週1~2度で早朝の1時間限定。しかもスペースの都合上、金属バットを使用することはできない。ブルペンも坂田によると「頑張って3人が投げられる」程度で屋根もない。練習時間は平日で2時間半と“普通の公立校”が2回戦から登場し、不戦勝の1勝を含む6勝を全て私立校から挙げた。

 来春選抜大会選考の重要資料となる近畿大会にコマを進めた。大阪の公立校で選抜大会に出場すれば、これも市岡以来となる。エースが「つい最近まで関係のない世界だったのが、少し見えてきてビックリしています」と心境を明かせば、横田は「行きたいですね」と笑顔を見せる。チーム一丸で粘りの野球を貫き、聖地への道を切り開く。

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2020年10月4日のニュース