NTT西日本 天国のチームメートに捧げる白星…同期3人で8打点マーク「絶対に優勝する」

[ 2020年9月2日 18:24 ]

第91回都市対抗野球大会 近畿地区第二次予選   NTT西日本13―1NOMOベースボールクラブ ( 2020年9月2日    わかさ京都 )

右越えに2ランを放ち、笑顔で生還するNTT西日本・野村
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 亡きチームメートに捧げる勝利だった。今季初の公式戦に臨んだNTT西日本が13安打13得点で快勝発進。今年4月13日に骨肉腫のため、23歳の若さで亡くなった遊撃手の中井諒さんとともに戦った勝利に、大原周作監督(46)は「非常にいい1勝。これからも変わらない。29人で戦っていく」と言葉を絞り出し、男泣きにむせんだ。

 首脳陣、28人の選手全員が腕に喪章を付け、背番号だった「6」を刺しゅうした帽子を被ってグラウンドに立った。1―1の2回無死満塁、辻本勇樹捕手(24=仙台大)が中前に勝ち越し打を放つと、1死満塁から1番・酒井良樹内野手(24=駒大)が右翼線へ2点二塁打。6―1の3回1死一塁からは今秋ドラフト候補の野村勇内野手(23=拓大)が右越えに勝利を決定付ける2ランを放った。中井さんと同期入団で入社2年目の3人が13打点中、8打点を記録。野村は「守備が惚れ惚れするくらい上手で、要所要所で面白いことを言う、大阪人だった」と目を細め、振り返る。「緊張したとかエラーをしたとか、そんなの関係なく、絶対に勝ちたいと思った」。ベンチに飾られたユニホームを見るたびに奮い立った。

 先発し、5回1失点と確実に試合をつくった今秋ドラフト候補の最速151キロ右腕・大江克哉投手(24=花園大)も仲のいい同期の一人。「そこ(遊撃)に打たせたら、絶対にアウトにしてくれる。どうやって、打たせようかって考えていました」と卓越した守備力を頼りにしてきた。2回登板中に襲われた突然の豪雨。だが、その中でも動揺することなく淡々と投げ続け、勝ち越し直後のイニングを3者凡退で終えた。中井さんは雨男としてチーム内で有名だっただけに「その(中井さんが降らせた)可能性はありますね。降っていたのは守備中ばかりでしたから」とさわやかに笑った。

 客席では中井さんの両親も躍動するナインを見守った。父・康浩さん(53)は「諒もグラウンドに立って、一緒に戦って、一緒に守備をしているつもりでした。同期の選手が頑張って、活躍しているのは嬉しいし、頼もしい」と話した。野村も大江も「プロ」という個人目標がある。だが、今は電電近畿時代の1965年以来、55年ぶり2度目の都市対抗大会優勝しか眼中にない。野村は「中井も見ている。絶対に優勝する」と誓い、大江も「アイツもチームの一員。チーム全員で戦っていく」と力を込めた。ともに頂点に立つために、全員が全力を出し尽くす。

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