広島 超マイナス思考の逸材、開花へ―歓喜よ再び

[ 2020年5月30日 08:30 ]

2月、阪神との練習試合の4回1死一塁、左越え2ランを放つ広島・高橋大
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 6月19日に決まったプロ野球の開幕戦。広島は、敵地でのDeNA3連戦で今季のスタートを切ることになりそうだ。6月の横浜スタジアム。思い出されるのは高橋大樹が難敵・今永から放ったプロ1号だ。ちょうど1年前の6月28日だった。

 当日はプロ初の1番(左翼)で先発出場。同点で迎えた3回の先頭打者で、カウント1―2からの148キロ真ん中高め直球を左翼席へ運んだ。7年目の待望弾。「自分のスイングはできたけど、入るとは思わなかった」と目を丸くしたものだ。

 歓喜よ再び―。

 今春の歩みはすこぶる順調だ。対外試合19戦で38打数13安打、3本塁打、10打点。打率・342をマークし、チーム内外に成長ぶりをアピールした。開幕までに12の練習試合が組まれているが、初の開幕1軍入りは十中八九間違いない。

 「いや、それは考えられない。まだ練習試合があるし、そんなに(打席の)回数も立てないと思うし…。それに多分、(春の対外試合の成績は)リセットされていますよ」

 こちらの振りに、謙虚な26歳は苦笑して首を横に振る。いや、敵の開幕投手は今永が最有力だ。朝山打撃コーチは、中日・大野雄を想定した時でさえ「真っすぐ待ちで変化球に対応できる。開幕スタメンは十分ある」と話しており、あながち無いとは言い切れない。

 「ボクは、結果次第で2軍に落とされる立場。だから不安です。早く開幕してほしい気持ちもありますが、打てなかったら…とか、やっぱり考える。マイナス思考なんで…」

 入団3、4年目にどん底を味わった。2軍ですら打てず「クビやな…と」。思考回路には当時のトラウマが刻まれる。浮上への転機は、左足の踏み出しをインステップに変えた5年目だった。初球から振れる素質があり、足踏みしながらも必死にのし上がってきた。

 「1軍でずっと仕事をしたい。代打で出た時に1本出るか、どうか。そこで結果を出せば、次にスタメンをもらえると思うので」

 慢心や過信とは無縁の12年ドラフト1位。ネガティブ思考は筋金入りだ。だが、不器用さを自認し、現状を楽観視しないからこそ自らを駆り立てる。不安を打ち消そうと、練習に打ち込む。苦節8年目。開花の時だ。(江尾 卓也)

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