BC神奈川・杉浦健二郎投手は元バド部の最速150キロ右腕 ドラフト指名へ挑戦「ダメなら就活」

[ 2020年5月22日 05:30 ]

大学を休学し挑戦する杉浦(球団提供)
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 【BALL PARK】独立リーグも新型コロナウイルスの影響で開幕は延期となっている中、今年ドラフト会議(11月5日)での指名を目指しトレーニングに励む選手がいる。ルートインBCリーグの神奈川に所属する最速150キロ右腕、杉浦健二郎投手(22)の「今」を取材した。(柳内 遼平)

 杉浦は相模原市内の実家の自室に人工芝を敷いた。BCリーグは開幕延期が決定し、チームの神奈川も4月7日時点で活動休止となった。右腕は投球フォームの改良を図り、人工芝の上でシャドーピッチングを繰り返す。

 「練習量は1日2~3時間程度。夜間のランニングや自重筋力トレーニングです。2月から投球フォームを見直した。参考にしたのはオリックスの山本(由伸)投手です」。

 力任せではなく効率よく球に力を加える。山本のフォームをコピーした上で、自分に合う形に修正を施した。2カ月で、脱力しながらも直球は144キロを計測。「150キロ出すだけならば前のフォームでもいい。球数を投げるためや打者と対峙(たいじ)するために改良が必要だった」と話した。

 相模台中時代は野球部でポジションは主に内野手。麻溝台ではバドミントン部に所属した。「一点に力を入れる感覚は投球のリリースと一緒。うまい人のまねでフォームをつくったアプローチは今と一緒」と異色の経歴がフォーム改良に生きている。中大に進学後は草野球チームをつくり、軟式でプレーした。「草野球仲間から遠投129メートルの強肩や球速を絶賛された。初めて実力を試したいと思った」。昨年11月のBCリーグトライアウトを受験。ブルペン投球で150キロを計測し、横浜(現DeNA)で活躍した鈴木尚典監督らの目に留まった。

 大学を休学し、投手に本格挑戦してプロを目指すが、杉浦は「プロへの挑戦は今年の1年だけ。指名がなければ、大学に戻り、就活する」と覚悟は固い。球団からは休止期間中も約10万円の給料をもらう。感謝の思いを胸に開幕を待つ。

 「たとえ8、9月の開幕になり、登板が5試合しかなくても十分なチャンス。NPBに指名されることは夢です」。杉浦はマウンドに立つ日を信じ、前を向き続けている。

 《15日に活動再開を発表》ルートインBCリーグは5月15日にチーム活動を球団の判断で再開すると決定。6月中旬以降の開幕を目指し、無観客での開催も想定する。総収入の中でチケット収入が占める割合は15%程度のため、直近の危機はないという。同リーグの村山哲二代表は「スポンサーの撤退は一社もない。無観客の場合でも、スポンサーに還元できるようなPRやCMを検討している。チームの公共財としての活動が今も支援を継続いただいていることにつながっていると思う」と現状を話した。

 ◆杉浦 健二郎(すぎうら・けんじろう)1998年(平10)4月10日生まれ、神奈川県出身の22歳。麻溝台ではバドミントン部に所属。中大進学後は草野球チーム「相模原レイダース」でプレーし、19年11月にルートインBCリーグのトライアウトに合格し、地元の神奈川に入団した。球種は最速150キロの直球に、カーブ、カットボール、ツーシーム。1メートル82、78キロ。右投げ両打ち。

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