【スポニチ潜入(13)】報徳学園・坂口 ドラ1候補に投げ勝った名門のエース 「圧倒的投球」へ直球強化

[ 2020年5月11日 10:00 ]

報徳学園・坂口翔颯投手
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 スポーツニッポン新聞社がお届けする記事と動画を連動した新企画「スポニチ潜入」。主に関西圏のアマチュア野球選手を紹介する本日公開の第13回は、昨秋の兵庫県大会決勝で今秋ドラフト1位候補の明石商・中森に投げ勝った、報徳学園・坂口翔颯投手です。

 まとまっている。報徳学園・坂口の投球する姿をひと目見れば、誰もがそう思うに違いない。まさに投手のお手本のような、整ったフォーム。そこから投じる縦回転のスピンが効いたボールは、きれいな軌道で捕手のミットへ収まる。昨秋時点の直球の最速は142キロと言うが、切れがあるため、目測では数値以上に速く見える。過去に春1度、夏2度の全国制覇を誇る名門のエースにふさわしい、投手らしい投手だ。

 1メートル78、82キロ。際立つのは、ユニホームのパンツがはち切れそうな、下半身のたくましさだ。オフ期間にウエートトレーニングに励み、体重は昨秋から筋肉で3キロ増やした。球威アップを目指して主に下半身強化に取り組み、今ではスクワット150キロ、デッドリフト170キロを持ち上げる。直球の最速150キロ到達を目下の目標に掲げ、エンジン強化に励む日々を過ごしてきた。そのモチベーションとなっているのは、ライバルの存在だ。

 「(明石商の)中森選手とか、良い投手を見ていたら、下半身が自分とは全然、違ったので、下半身を本当に重視して、ウエートトレーニングをしていました」

 一度は投げ勝ったライバルを意識しつつ、切磋琢磨する。昨秋の県大会決勝では、今秋ドラフト1位候補の中森と投げ合った。4回途中4失点で降板したライバルに対し、坂口はドラフト上位候補・来田を筆頭に強打者が並ぶ明石商打線から9三振を奪う力投で1失点完投。見事にチームを頂点へと導いてみせた。それでも慢心はない。だから夏の大会でも最大の難関となるであろうライバルを意識するだけでなく、時には参考にもしながら自らのレベルアップを図る。「(他の投手の動画などは)毎日、見ていますね。やっぱり高校生だったら、中森選手はよく見ます。リリースの瞬間の足の使い方とか」。柔軟な考え方の持ち主でもある。

 直球以外にカーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、フォークと球種は多彩。同校の磯野剛徳部長は12年のエース・田村伊知郎(西武)を引き合いに「田村とタイプは似ているかもしれませんが、坂口の方が体も大きく、器用だと思います」と評す。本人も「器用」は自覚。その上で、さらなる進化を目指すべく、「幹」の強化を課題に掲げる。

 「自分はけっこう変化球も投げられて器用な方だとは思うので、小さくコントロール……というよりかは、球威であったりスピードであったり、そういうところを大事にして。(最後の夏には)ストレートで誰も寄せ付けないくらいの、圧倒する投手になっていたいです」

 悔しい初戦敗退を喫した昨秋の近畿大会終了後から感じていた右肘の違和感も、オフのノースロー期間を過ごす間に完治した。満を持して、「圧倒の夏」を目指す。(大阪報道部・惟任 貴信)

 ◆坂口 翔颯(さかぐち・かすが)2002(平14)年9月12日、兵庫県伊丹市出身。松崎中では「阪神ボーイズ」に所属し、3年夏の全国大会16強。50メートル走6秒6、遠投100メートル。1メートル78、82キロ。右投げ右打ち。

 ※ 本記事の動画は「スポニチチャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCCDmd01WsuFBF8n3yMjHQ1A)において5月11日正午頃、公開予定です。(記事、動画の内容は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府が緊急事態宣言を出す前に取材したものです)

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2020年5月11日のニュース