開幕後の開催案論議始まったプロ野球 「必要なときに」…その瞬間を待つ

[ 2020年5月11日 08:45 ]

11年パ・リーグ開幕戦のロッテ―楽天。7回に勝ち越し3ランを放ち、指を天に突き上げながらベースを回る楽天・嶋
Photo By スポニチ

 油断をするつもりはない。だが、出口の見えなかったトンネルの向こうに、うっすらと光が見えてきた。手厚いとはいえないサポートの中で続けている自粛生活の終着点。プロ野球界は、延期されている開幕後の開催案の論議が始まった。

 『プロ野球が12日、セ・パ同時開幕を迎えて各地で熱戦が繰り広げられた。(中略)震災の影響で、開幕が延期して18日遅れでやってきた「春」。「がんばろう!日本」をスローガンに復興支援を誓う選手のプレーを、全国で多くのファンが楽しんだ。』。これは東日本大震災で開幕が延期になっていたプロ野球開幕を報じる、11年4月13日付けの弊紙の1面の書き出しだ。ロッテ戦で勝ち越し3ランを放った楽天・嶋(現ヤクルト)が、右人差し指を突き上げる姿が印象的な紙面だ。

 ページをめくると3面にある解説記事の「記者の目」にこういう一文があった。

 『セ・リーグは開幕時期の問題で非難を浴びた。「必要なものを、必要なときに提供する」ことがビジネスの基本だとすれば「必要なときに」を見誤った。野球は「必要なもの」なのに』。
 今年もプロ野球も間違いなく「頑張ろう!日本」を掲げてスタートするだろう。3カ月程遅れ、試合数も少なくなり例年とはかたちは違うだろうが「必要な時」に戻ってくる。

 9年前の開幕戦で、右人差し指を突き上げた嶋は今季、ヤクルト入り。8日には埼玉・戸田で、ドラフト1位右腕・奥川のブルペン投球を初めて受けた。2月、記者は宮崎・西都でヤクルト2軍キャンプを取材。奥川の初ブルペンの動画を、沖縄の1軍キャンプ中だった嶋に送信すると「きれいなフォーム!」と感心するメッセージが返ってきた。3月に右手親指付近を骨折したが、順調に回復中。紆余曲折の新天地での開幕に間に合い、1軍で奥川とバッテリーを組む日もさほど先にならず、実現する可能性もある。

 必要だろうとあてがわれるはずだったマスク2枚も、まだ行き届かない。だからこそ野球がしっかりと「必要なときに」戻ってくる瞬間を、じっと待っている。(記者コラム・春川 英樹)

続きを表示

2020年5月11日のニュース