徳光和夫氏 開幕が見えない球界の現状に「人生の1ページを黒く塗りつぶされたよう」

[ 2020年4月12日 07:00 ]

12年9月、原監督(左)を取材する徳光氏。熱狂的な巨人ファンでこよなく野球を愛する徳光氏も球界の現状に心を痛めている
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 熱狂的な巨人ファンで、こよなく野球を愛する徳光和夫氏(79)も開幕が見えない球界の現状に心を痛めている。ファンに伝えたくても試合がないメディアの現場を憂い、フリーアナウンサーとして、いち野球ファンとして今の思いを語ってくれた。

 野球を見られないことが、こんなにつらいものなのか、こんなに非日常的なのか。まるで他人に人生の1ページを黒く塗りつぶされたようです。野球は私に生きる喜びを与えてくれ、生きる時間を埋めてくれる。野球は、私にとって全てなんだと感じています。

 野球がないと、家庭内でも会話がなくなります。試合に負けてぼやいて、女房に「たかが野球で何言っているのよ」と言われる。それも今や懐かしい思い出。日々の生活が全く変わってしまった。齢(よわい)七十九、この年になってこの仕打ちはないだろう。そんな思いでいます。

 本来なら球場に何度も足を運んでいた。仕事でも、試合がないから「徳光和夫の週刊ジャイアンツ」(※注)の収録も休んでます。そんな状況ですから、後輩たちには今を自分の足元を見つめ直す時間にしてほしい。自分の中継を聞き直し、映像を見直し、反省しながら新たな自分を見いだしていく。「放送」が「送りっ放し」にならないように。野球の面白さを意識して、どう伝えたらいいかを考えてもらいたいな、と。この災いを転じて福としてほしいと思います。

 選手たちは本当にしんどいはずです。この状況下でどんな気持ちでいるのか。電話ではなく、今こそ直接話をしたい。本音トークをしたい。それはかないません。でも、巨人の原監督がこう言われていました。「開幕は間違いなく来る」と。この苦境も終わりはやってきます。試合ができるようになった時、選手たちはプロらしいプレーを見せてくれる。

 必ず来る開幕。その時は、選手は野球をできる喜び、ファンは野球を見られる喜び、そして野球を伝えられる喜びを、みなさんと分かち合いたい。(フリーアナウンサー)

 ※注=「徳光和夫の週刊ジャイアンツ」は、日テレジータスで毎週月曜日午後8時から同9時半の放送。巨人の1週間を余すところなく振り返り、ペナントレースのハイライトを伝える番組。試合がない現在は今春キャンプの模様やこれまでに収録したインタビューなどを放送している。

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